サモナーズリフトに響き渡る剣戟の音、魔法の詠唱。
硝煙と血の匂いが立ち込める戦場で、勝敗を分けるのはしばしば、ほんの一瞬の閃きだ。
中でも、マークスマンが放つ「クリティカルストライク」――運命の一撃は、頑強な戦士すら一瞬で薙ぎ倒す致命的な輝きを放つ。
絶望的な威力。
抗う術はないのか?
いや、古のルーンテラには、その絶対的な破壊力に立ち向かうための叡智が遺されていた。
重厚な鋼鉄にルーンが刻まれた盾、「ランデュイン・オーメン」。
それはただ物理的な衝撃を吸収するだけではない。
敵の刃が最も鋭く輝き、致命的な一撃とならんとするまさにその瞬間、その輝きそのものを鈍らせ、運命の威力を削ぐという、不可思議な力を秘めているのだ。
しかし、戦場の理は常に変化する。
近年、影より生まれし炎「シャドウフレイム」が、魔法の世界にすらクリティカルという概念をもたらした。
物理的な斬撃とは異なる、魔力の奔流による致命打。
古き鋼鉄の盾は、この新たなる脅威にどう応えるのか?
その「耐性」は、魔法のクリティカルに対しても有効なのだろうか?
本稿は、その謎めいた盾、ランデュイン・オーメンの深淵を覗き込み、クリティカルという現象との複雑な関係性を解き明かす試みである。
さあ、鋼鉄と魔法が交錯する、ダメージ計算の迷宮へと足を踏み入れよう。
この記事を読めば
- ランデュイン・オーメンのクリティカルダメージ軽減効果(耐性)の対象を理解できる
- 効果的なカウンターアイテム選択ができるようになる
- ランデュイン・オーメンの戦略的な購入タイミングと活用法がわかる
はずだ。
この記事はパッチ25.08の時に執筆されました。
基本的なクリティカル周りのLoLの仕様
- 発生源: 通常攻撃や一部の特定のスキルで発生する可能性がある。
- 通常ダメージ: クリティカルが発生すると、通常ダメージの 175% のダメージを与える。
- インフィニティ・エッジ: このアイテムを持っている場合、クリティカルダメージは通常ダメージの 215% に増加する。
- 基本クリティカル率: 通常は 0% (一部チャンピオンの能力を除く)。
- クリティカル率の上昇: 主にアイテムによって上昇させ、最大 100% まで上げられる。
- アイテム: クリティカル率が付与されたレジェンダリーアイテムには、通常 25% のクリティカル率が付いている。
- 100%達成: 上記のアイテムを 4つ 購入することで、クリティカル率を100%にできる。
我々はなんでもLOL基準で考えてしまうので、他のゲームではクリティカル周りを間違えることが多い。
ランデュインオーメンの性能

2700ゴールドと、意外と安い。
こういうシチュエーショナルなアイテムは安いほうが助かる。
耐性(受けるクリティカルダメージ30%軽減)
LOLプレイヤーはアイテムのパッシブ名は覚えないし呼ばないのが普通だ。
しかし「耐性」という名前はどうかと思う。
- ノーインフィニティ時のクリティカルダメージは175%
- インフィニティ時のクリティカルダメージは215%
なので、ランデュインオーメンを持つと
- ノーインフィニティ時のクリティカルダメージは122.5
- インフィニティ時のクリティカルダメージは150.5
クリティカルダメージを受けることに関しては、右に出るアイテムがいないと決めつけていい性能だ。
実際のLOLの試合では、純粋なAR防具を買う場合はソーンメイルが優先されることが多い。
機動性が低いチャンピオンほどそういう傾向が高い、と覚えておこう。
卑下(周囲の敵に2秒間、70%のスロウを付与)
ランデュインオーメンと言えばクリティカル低減パッシブだ。
なのでこちらは目立たない。
しかし、2秒間の70%スロウは強力である。
一般的にランデュインオーメンは
- インフィニティエッジを持ったマークスマン
- インフィニティエッジを持ったヨネとヤスオ
- インフィニティエッジを持ったトリンダメア
相手に買われる。
クリティカルダメージを上げたいのであれば、仕組み的にAAメインなので、どのチャンピオンもスロウが効果的である。
特にマークスマンは移動スキルがないことが多いので、その後の範囲付きCCを回避しにくい。
赤ケインでフラッシュ>スロウ>Wで試合を決めたことは10回ほどある。
「耐性」が軽減する「真のクリティカルストライク」とは?
ランデュイン・オーメンの「耐性」パッシブが効果を発揮するのは、ゲームシステム内部で「真のクリティカルストライク」として処理されるダメージに対してのみである。
これを理解するためには、以下の点を区別することが重要である。
真のクリティカルストライク(軽減対象)
- 通常攻撃のクリティカル: 最も基本的な対象である。ADCなどの通常攻撃主体チャンピオンからのクリティカルダメージを軽減する。
- スキルによる物理クリティカル: スキル自体がクリティカルとして設計されているもの。
- チャンピオンのパッシブによるクリティカル: ジン、ケイトリン、アッシュなど。
- アイテム効果による物理クリティカル: サンダード・スカイなど。
2 クリティカルアイテムを持ってる時のガレンEやマスター・イーQなどは、クリティカルすればランデュインオーメンで軽減できる。
3 アッシュのWはパッシブのせいか、何故かランデュインオーメンで軽減できる。
インフィニティエッジを持ってもダメージが増えないクセにだ。
4 サンダードスカイとのシナジーのためにインフィニティエッジを買わないように、サンダードスカイ対策としてランデュインオーメンは買わない。
しかし、別な理由で持っていた場合はポジティビティが高い。
非クリティカルだが誤認しやすいもの(軽減対象外)
- 強化攻撃(非クリティカル): ナサスQやブリッツクランクEなどは、使用者が別途クリティカルを出さない限り、強化ダメージ部分は軽減されない。
- 命中時効果: ウィッツエンドの魔法ダメージやルインドキング・ブレードの割合体力ダメージなど、クリティカルとして扱われない追加ダメージは軽減されない。
- 割合体力ダメージ(非クリティカル): ヴェインWのようなTrueダメージや、明確にクリティカルとしてコーディングされていない割合ダメージは対象外である。
- スキルの基本ダメージ(非クリティカル): ほとんどのスキルの基本ダメージは、たとえ物理ダメージであってもクリティカルではないため軽減されない。
- 見かけ上のクリティカル: 特定条件下でダメージが増加し、クリティカルのようなエフェクトが表示されるスキル。アニビアへのE、単体ヒット時のカーサスQなど。
- タワーへのダメージ: クリティカルはタワーに影響しないため、関連しない。
APダメージだから誰も気にしないだけで。カーサスのQは軽減されると思っていた。
プラクティスで試してみたら軽減されてなかった。
新たな挑戦者:シャドウフレイムの魔法クリティカル

近年、メイジやAPアサシン向けのアイテムとして「シャドウフレイム」が登場した。
このアイテムは、魔力と魔法防御貫通を提供するだけでなく、「シンダーブルーム」というユニークな自動効果を持っている。
これは、敵の体力が一定割合以下の場合、与える魔法ダメージとトゥルーダメージがクリティカルストライクとして扱われ、ダメージが増加する(通常は元のダメージの120%、つまり+20%のボーナス)というものである。
物理防御アイテムであるランデュイン・オーメンが、この魔法ダメージやトゥルーダメージのクリティカルに対して効果を発揮するのか、という疑問が生じる。
40%未満の相手ならば、基本的にラバドンデスキャップよりも高いダメージを出せる。
ミニオンやモンスターにも有効(ファームが速い)なので、魔法防御貫通ビルド時に買われることが多いアイテムだ。
相互作用の解明:ランデュイン・オーメンはシャドウフレイムのクリティカルを軽減するのか?
結論から言うと、
- ランデュイン・オーメンの「耐性」はシャドウフレイムによるクリティカルストライクを軽減する。
ゲームメカニクスの分析によると、シャドウフレイムが発生させるクリティカルは「見かけ上のクリティカル」ではなく、ゲームシステム上「真のクリティカルストライク」として扱われている。
ランデュイン・オーメンは、ダメージタイプ(物理か魔法か)に関わらず、「真のクリティカルストライク」によって発生するダメージを軽減するように設計されているため、シャドウフレイムのクリティカルも軽減対象となるのである。
しかし、ここには非常に重要な注意点がある。
ランデュイン・オーメンが軽減するのは、シャドウフレイムのクリティカル効果によって追加されたボーナスダメージ部分のみである。
例えば、シャドウフレイムが+20%のボーナスダメージを与え、ランデュイン・オーメンがクリティカルダメージを30%軽減するとする。元の魔法ダメージが100だった場合、
- シャドウフレイムによるボーナスダメージ: 100×0.20=20
- クリティカル適用後の合計ダメージ(軽減前): 100+20=120
- ランデュイン・オーメンによる軽減額: ボーナスダメージ 20×0.30=6
- 最終的に受けるダメージ: 100+(20−6)=114
このように、合計ダメージ120が30%軽減されるのではなく、ボーナスダメージの20だけが30%軽減され、最終的なダメージは6しか減少しない。
このメカニズムは、シャドウフレイムによって発生するトゥルーダメージのクリティカルにも同様に適用されると考えられる。
ベースとなるトゥルーダメージは防御力で軽減できないが、クリティカルによって上乗せされたボーナス部分のトゥルーダメージは、「耐性」によって軽減される可能性がある。
MRアイテムも持っていれば、そんなに悪くなさそうな効果である。
シャドウフレイムを持ったカーサスのRなどは、耐えてくれそうだ。
戦略的意義と結論
ランデュイン・オーメンは、シャドウフレイムのクリティカルに対して限定的な軽減効果を発揮するが、その効果はボーナスダメージ部分にのみ適用されるため、シャドウフレイム対策の主軸となるアイテムではない。
ランデュイン・オーメンの真価は、依然として物理ダメージを与える通常攻撃やスキルによる「真のクリティカルストライク」に対する強力な防御性能にある。
ヤスオ、ヨネ、トリンダメア、クリティカルビルドのADC、サンダード・スカイの使用者など、物理クリティカルに大きく依存する敵に対しては、非常に有効なカウンターアイテムであり続ける。
敵チームにシャドウフレイムを持つメイジがいる場合は、魔法防御に特化したアイテムの方が、全体的なダメージ軽減には効果的であろう。
ただし、物理クリティカルの脅威とシャドウフレイムの脅威が混在する状況では、ランデュイン・オーメンは物理クリティカル対策を主軸としつつ、シャドウフレイムに対しても副次的ながら軽減効果をもたらす選択肢となり得る。
ヤスオのRを受けると、増加AR分を60%貫通してくるようになる(ヨネにはない)。
それでもヤスオ相手にランデュインオーメンは効果が高いが、最初にRを受けた場合は、殴り合いで負ける恐れがある。
実際にランデュインオーメンはどんな時に買うのか?
LOLの基本ルールとして、「最初に武器を買う」というのがある。
ファーム速度を上げないと、中盤以降のアイテム数に差が付くからだ。
なのでファームせずに敵と戦い続けるサポート、アイバーンのような特殊なファーム方法をするチャンピオン以外、純粋な防具はサードアイテム以降に買う。
ARAMで初手に心の鋼を買う人が多いのは、試合の進行に支障が出にくいからである。
実際の試合では4手目か5手目に相手のマークスマンが育っている時に買う
- 対面がヨネ、ヤスオ、トリンダメアだとする
- 相手のジャングラーもADだとする
この場合はランデュインオーメンが有効だが、買うことはない。
LOLの試合で勝つには
- 自分がスノーボールする
- 相手のスノーボールしたチャンピオンに勝つ
必要があるからだ。
前述したファーム速度の関係もあって、実際に買うケースは
- 自分がスノーボールしている時に買う(スノーボールしたヨネ、ヤスオ、トリンダメア対策)
- 終盤になって敵も味方もフルビルドの時に買う(フルビルドのマークスマン対策)
1 スノーボールの利点は、防具を積みやすいところだ。
最初の2個は武器を積む必要があるので、サンファイアイージスを最初に買うようなチャンピオンじゃない限り、防具を積む機会は少ない。
2 フルビルドのマークスマンの強さは驚異的で、9割くらいのチャンピオンは一方的にボコボコにされる。
クリティカル100%+ブラッドサースターというビルドは、殴り続けると無敵に近い。
なのでCCで動きを止める必要があるわけだ(その間に倒す)。
AR防具を積んでない場合、物凄いASにも関わらず、4発くらいで倒されてしまう。
そこでソーンメイルやランデュインオーメンが必要になってくる。
大昔はソーンメイルに重症効果はなかった。
しかし「後半のマークスマンに回復ポットとして使われるじゃん?」という問題があったので追加された。
ここ数年はソロキューでもタンクが機能しているが、それまでは本当に扱いが酷かった。
終わりに
- ランデュイン・オーメンは、ユニークパッシブ「耐性」によって、受けるクリティカルストライクのダメージを30%軽減する効果を持つ。
- LoLにおけるクリティカルストライクの基本ダメージは通常攻撃の175%であり、インフィニティ・エッジを所持している場合は215%に増加する。
- 「耐性」によるダメージ軽減は、ゲームシステム内部で「真のクリティカルストライク」として処理されるダメージに対してのみ適用される。
- 通常攻撃のクリティカルに加え、特定スキル(例:ガレンE、マスター・イーQのクリティカル時)、特定チャンピオンのパッシブ(例:ジン、アッシュW)、特定アイテム(例:サンダード・スカイ)による物理クリティカルも「耐性」で軽減される。
- 強化通常攻撃(例:ナサスQ)や、見かけ上のクリティカル(例:カーサスQの単体ヒット時)など、「真のクリティカルストライク」として扱われないダメージは「耐性」では軽減されない。
- 魔法アイテム「シャドウフレイム」が発生させる魔法・トゥルーダメージのクリティカルも、「真のクリティカルストライク」として扱われるため、「耐性」による軽減対象となる。
- シャドウフレイムのクリティカルダメージを「耐性」で軽減する場合、軽減効果はシャドウフレイムによって追加されたボーナスダメージ部分(通常+20%)にのみ適用され、元のベースダメージは軽減しない。
- ランデュイン・オーメンは、クリティカルダメージ軽減だけでなく、周囲の敵に強力なスロウを与えるアクティブ効果「卑下」も備えている。
- LoLではファーム速度が重要視されるため、純粋な防御アイテム(ランデュイン・オーメン含む)は、武器アイテムを優先した後、一般的に3手目以降に購入される。
- 実際の試合では、ランデュイン・オーメンは主に試合後半、育ったクリティカル主体の敵(特にマークスマン、ヨネ、ヤスオなど)への対策として4手目か5手目に購入されることが多い。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、タンクの重要アイテム「ランデュイン・オーメン」のクリティカルダメージ軽減効果「耐性」について、かなり詳しく掘り下げてみました。
特にシャドウフレイムとの相互作用は、軽減対象になるもののボーナスダメージ部分だけ、という少しややこしい仕様でしたね。
記事中でも触れたアッシュのWのように、直感的には「なんで?」と思うような仕様が存在するのもLoLの面白いところ(バグかもしれませんが)。アイテムの細かい仕様や相互作用を知っておくと、ビルド選択の幅が広がったり、相手の意表を突くプレイに繋がったりすることもあります。
ランデュイン・オーメンは、特定の相手に対して非常に強力なカウンターアイテムですが、購入タイミングは意外と難しいものです。この記事が、皆さんのアイテム選択の判断材料として、少しでもお役に立てれば幸いです。
LoLは常に変化し続けるゲームなので、また新しい発見や仕様変更があれば、情報共有していきたいと思います。それでは、ランク戦での健闘を祈ります!
今回の記事を執筆していて、
- ダミーのDPSメーターにはクリティカル軽減前のダメージが記録される
など、色々な発見があった。
ランデュインオーメンを実際に活かす場合には、クリティカル低減だけではなく、スロウ効果のほうも考える必要がある。
- マークスマンで買う場合は、敵のトリンダメアなどが来たらすぐに発動する
- メレーで買う場合は、敵のマークスマンに発動してCCを当てる
などである。
普通のビルドのアーゴットの場合、相手のマークスマンにEを当てるまでが大変で、ランデュインスロウを当てる機会は少ない。
そういうチャンピオンは、やはりソーンメイルやジャックショーがARアイテムとして無難だ。
さらに後半のARアイテムと言えば、ガーディアンエンジェルがある。
そう考えるとランデュインオーメンが勝っている点は、CC(といってもスロウだけど)が1個増えるところだろう。