趣味や美的感覚というものがあって、
そういう世界では、
「好き」と「嫌い」では嫌いのほうが重要だ。
ピエール・ブルデューが言うには、
人間は常日頃から
「趣味の良さ」
を競っており、
「自分とは違う階層の人が好むものを拒否する」
ことによって、
アイデンティティや社会的な立ち位置、
あるいはLoLの実力というものを確立していくそうだ。
ただ実際の健常発達的な世界においては、
大前提としてホンネとタテマエがあって、
タテマエ 「LoLを始めたばかりなんですね!! よかったら一緒にプレイしましょう🤓」
ホンネ 「プラチナすらないのに他のゲーム並行してやってるヤツ、それ自体は全然構わないんだけど、そういう態度なのにSNSで『上達したいです😀』とか言ってるヤツ、自分の人生や普段の生き方を改めたほうがいい。男性でそういう発言や態度が許されると思っているところ、マジで芋臭くって見てらんねえし、クラスでも馴染めなかっただろ。お前がやるべきは対戦ゲームではなくVRChatだよ」
という仕組みだ。
私は頻繁にこういったことをブログにボソっと書くが、
そこまで専門的な嫌悪ではなく、
プラチナ前後ならば誰でもわかるような嫌悪を書いている。
なので大半のLoLプレイヤーにとっては、
「レゼとかユーベルって可愛いですよね☺️」
くらいの中庸的な感想にしか感じないはずだ。
今回書くのは、
LoLプレイヤーにとっては馴染みが薄いが、
ハクスラプレイヤーにとっては大基本とも言える嫌悪について書く。
これはおそらく、
人生および生活全般について役に立つ。
※ ハクスラプレイヤーは身体的に健康とは言えないが、そこは無視して欲しい。
やったことがない人に軽く説明すると、
- 3ヶ月に1回初期化されるMMO
- 3ヶ月に1回だけプレイできるLoLの試合
みたいなものだと考えてほしい。
この記事はパッチ25.21の時に執筆されました。
人間はマックスロールを好む
基本的にPoEやトーチライトには、
アイテムのステータスに幅があって、
その数値はランダムに決められている。
そのランダムで決められた数値の、
最も高いものをマックスロールという。
マックスロールは、
有名なハクスラのサイト名にも使われているくらいで、
ゲームを理解する上では重要な単語である。
次のステータスはエレメントエラーといって、
最終コンテンツで周回するには、
100%まで積む必要があるステータスだ。
※ 他の方法もあるが無視する。とりあえず積むなら100必要である。


下のダメージ-38.6%は、
私のキャラクターに常にステータス変動するバフが付いてるので、
この後に色々数値が変わる。
無視してほしい。



- 26% 100ゴールド
- 27% 88ゴールド
- 28% 99ゴールド
- 29% 888ゴールド
- 30% 1200ゴールド
あなたがトーチライト上級者じゃなければ、
次のように思ったはずだ。
「29%から急に強くなるんじゃない?」
と。
マルザハールが黒炎のトーチを完成させる前と後のように、
強さの閾値(スレッショルド)があるんじゃないか?
と推理するのは自然である。
しかし実際には
- 26%でも30%でも見た目以外変わりない

大体足で60%以上稼いで、
後は2つ細かいのを付ける。
足だけで71%や70%稼げれば、
ちょうど100%に出来るのだが、
そうなってない。
つまり、どういうことかというと
マックスロール(この場合は30%)だと気分が良いから
というだけの理由で、
値段が急激に高くなっている。
これは誰でも気持ちがわかるはずだ。
例えば男性ならば、
若い女性なら誰でも良いに決まっているのだが、
もし菌烨takoと結婚できるのであれば
「チンギス・カンも、こんな気持ちだったのだろうか?」
と、なろう小説の主人公のような気持ちになるはずだ。
とりあえずマックスロールとそれ以外では、値段が全然違う。
価値や性能は、本当に大差がない。
マックスロールを嫌悪する
強い狩り場ほど良いアイテムが落ちるので、
目指す状態というか流れは
- まずは、素早く美味しい狩り場にたどり着くことを目指す
- 次に、美味しい狩り場で快適に狩れる装備を作る
- 最後に、最強装備を目指す
となる。

あまりにも高すぎるので、
上級者でも普通はここまでプレイせず、
急激に飽きて次のシーズンに備えることになる。
※ 値段の割りには、そこまで強くはないし。
先程の場合だと、
2ぐらいの状態になって、
2日くらいプレイすると飽きてしまう。
飽きの話を辞めて、
マックスロールへの嫌悪について戻ろう。
ハクスラはアイテム6個しか装備できないLoLと違って、
装備する場所(強化の効く場所)がたくさんある。
つまり
- 繋ぎの装備に良いものを求めていたら、美味しい狩り場にすら到達できない
LoLで次のようなダリウスがいたとしよう。
「うおおおおお!! マックスロールのストライドブレーカーが売ってるじゃん!? 今3300ゴールド(ストライドブレーカーの値段)持ってるけど、やっぱ俺にふさわしいのはマックスロールでしょ😤9900ゴールド溜めて買います💪」
あなたがLoLプレイヤーならば、
SNSで言えばそのまま凍結されてしまうようなことを
考えたはずである。
つまりゲームをまったく理解してないダリウスの態度に、
激しい嫌悪を抱いた。
しかし我々の私生活、
そして詳しくない事柄とは、
こんなものではないだろうか?
LoLプレイヤーの場合、ADが5高いストライドブレーカーがあったとしても、175ゴールド分(1ADは、およそ35ゴールド)の価値にしか見えないはずだ。これがハクスラだと値段が3倍になったりする。
試合が長引いてお金が余らない限り、まず買おうと思わないはずだ。
遠く、あるいは、みんなのいる場所にたどり着けない
レーナーがコアアイテム3個持ってるバロン戦で、
ストライドブレーカー1本のダリウスが来た。
他の9人は次のように考えるだろう。
「コイツ、何しに来たの?」
と。
先程の流れのままに書くと、
- 175ゴールド分の価値しかないものに、6600ゴールド払ってしまったから(ストライドブレーカー・マックスロール)
である。
しかし真の問題点は、
部屋にいる全員からレポートされることでも、
試合に勝てないことでもない。
最も問題なのは
「気分の良さを求めてマックスロールを買ったのに、その気分の良さが買った瞬間しかない上に、その後は気分の悪い状態が続いていく」
これではないだろうか?
もちろん人間なので、
間違った買い物をすることは多いし、
間違いを恐れていては何もできないだろう。
それは構わないのだが、
問題点は
- マックスロールを好む性質は、長期的に考えて不幸になり続ける
ことである。
短期的な気分の良さを得ようとするアプローチが悪い
マックスロール好きは、
「成長の否定」に他ならない。
つまり最高値のアイテムを繋ぎの段階で求める行為は、
ハクスラプレイヤーが共通して抱く
「嫌悪」の対象となる。
なぜなら、
その行為はゲームの本質である
「効率的な進歩」
を放棄しているからだ。
趣味の良さ
- ゲームの目的: 効率良く上位の狩場に到達し、より良いドロップを狙うこと
- 長期的な(シーズン中の)幸福: 装備が整い、最上位のコンテンツを快適に周回できるようになること
- マックスロールへの固執: 「どうせ繋ぎなのだから、最低限のステータスさえあればいい」という現実的な判断を無視し、「最高の数値」という一瞬の気分の良さ(短期的な満足)に大金を払うこと
マックスロールへの固執やこだわりは、
ブルデューが言う「趣味の良さ」の競い合いとは真逆だ。
この場合、「趣味の良い」プレイヤーとは、
マックスロールに拘らず、
効率的なステップアップを選択できるプレイヤーである。
上手な人はシーズンスタート2日目で最上級狩場に到達する。
私もそこまで下手ではないのだが、48時間寝ないでプレイしても、到底たどり着ける気がしない。
「気分の良さ」という名の「停滞」
「気分の良さを求めてマックスロールを買ったのに、その気分の良さが買った瞬間しかない上に、その後は気分の悪い状態が続いていく」
この「気分の悪さ」の正体こそが、
「停滞」というヤツだ。
無駄な出費によって、
次の主要アイテムや次のTierの狩場へ到達する時間が遅れる。
周囲のプレイヤーは次々と次の段階に進むが、
自分は装備が整わず効率が悪いまま残される。
結果、得られるはずだった
「シーズン中の喜び(最上位コンテンツの周回)」
が遠のき、
「自分が遅れている」
という慢性的な不快感に苛まれる。
この「短期的な気分の良さを得るアプローチ」は、
長期的な不幸(停滞と機会損失)を生むメカニズムだ。
これはゲームだけでなく、
私生活における浪費や即時的な快楽への依存にも通じる。
価値がわからないからこそ、価格や評判で見ているのではないか?
- 短期的な気分の良さ×価格
- 長期的な気分の良さ
1 高いものだから気分が良い、
あるいは「気分が良くなりそう」
とも考えられるのではないだろうか?
むしろ無駄なコストをかければかけるほど、
短期的には気持ちがいい。
これは珍しくない考えだと思われる。
※ 本も読みにくいほど、読んだ時の達成感を感じると言われている。
2 高いものを買うと気分が良いし、
普段使うスマホやキーボードなどは
高いほうが幸福を感じるそうだ。
しかしハクスラプレイヤー、
あるいは私が教えるLoLでは、
「そんなもの無駄だから買わないほうがいいよ」
「そんなもの無駄だから覚えなくていいぞ」
となる。
おそらく「見込み」があるからだと考えられる。
上級者とVCしながらハクスラをプレイしていて、
常にアドバイスを受け続けた場合、
最上級狩り場に到達できないわけがない。
アドバイスを受け続けた側の情熱は失われるかもしれないが、
そういうことだ。
LoLもマスターまでなら、
ゲームが得意な人で時間が使える人であれば、
開始3ヶ月で到達できる。
「嫌悪」が「価値判断」を研ぎ澄ます
マックスロールへの嫌悪は、
「金銭的価値」と「実用的価値(効用)」のバランスを瞬時に見抜く訓練である。
そう言えるかもしれない。
- 素人の判断(未熟なプレイヤー): 「30%は26%より気分が良い(高い価値がある)」
- 上級者の判断(ハクスラプレイヤー): 「30%も26%も効用は同じ。繋ぎの装備に10倍も無駄なコストをかけるな」
この嫌悪は
「金を出せば手に入る一瞬の優越感」
を拒絶し、
「自身の努力と効率的な判断によって到達できる長期的な成果」
を追求する姿勢へと繋がる。
この嫌悪を理解し、
「短期的な気分の良さ」を求める自分の中の未熟な衝動を抑えることが、
私生活においても真に重要な目標、
つまりマックスロールの装備ではなく
最上位の狩場へ効率的に到達するための、
大基本となる。
先延ばしタスクを消す。カミールのスキルがわからない人
- 「夏休みの宿題を3日で終わらせて、後は遊ぶ!!」
実際にできるできないかは置いといて、
これが人生最強のライフハックであることに、
疑いのある人はいないだろう。
先延ばしタスクへの嫌悪が身についている小学生、
もしかしたら人生2周目なのかもしれない。
今月PIXIVFANBOXに
Discord連携機能が付いたので、
イヤイヤながらも実装した。
※ イヤイヤと書くのは良くないのだが、ある程度本当のことも言わないといけない。
しかし設定がうまくいってなかったようで、
人に言われて改善して、
やっと無人のDiscordに人が来たわけだ。
そこで昔から入ってくれてる、
エメラルドくらいのトップレーナーの人と1on1をした。
ある程度気心が知れている相手だと思ったので、
わざと負けることはせず、
遠慮なくボコった。
その時に彼が、
「ガレンでカミールが苦手だ」
と言っていて、
その発言に問題は見当たらない。
しかし
「カミールのスキルはよくわからない」
という、たわけたことを言っていた。
(わからないのであれば、その日にAI戦で触れよ)
と思ったのだが(多分直接言った)、
私も未達成のタスクがたくさんある。
LoLでは優れたハビトゥス(習慣や考え方)を持っているのだが、
他のことでは下から数えたほうが速く、
いつも「まあまあ汚い部屋」がそれを物語っている。
そして彼のほうが、
私よりもずっと真っ当な人生を歩んでいそうだった。
LoLだったら、「部屋を片付けるまで、他のことをしてはいけない」と思うのだろうけど、おそらくこの記事が書き終わった後も片付けないだろう。
掃除は5分だけすると面白いので、最近はそういうアプローチで情熱を育てている。
終わりに
- 「嫌い」が「好き」より重要であるという概念:- 趣味や美的感覚の世界において、「嫌い」(拒否/嫌悪)は「好き」(受容/選好)よりも、アイデンティティや社会的な立ち位置を確立する上でより重要な役割を果たす、というブルデューの理論が議論の前提となっています。
 
- 「趣味の良さ」の競合によるアイデンティティ形成:- 人間は常に「趣味の良さ」を競い合い、「自分とは違う階層の人が好むものを拒否する」ことによって、自身のアイデンティティやLoLにおける実力を定義・確立しているという視点が提示されています。
 
- 建前(タテマエ)と本音(ホンネ)の二重構造:- 現実の社交(特にゲームコミュニティ)においては、「初心者歓迎」という建前と、「非効率なプレイヤーへの激しい嫌悪」という本音が共存しており、この二重構造が社会的な仕組みとして機能していると指摘されています。
 
- マックスロール(最高値)の実用価値と価格の乖離:- ハクスラゲームにおいて、アイテムのマックスロールは、実用的な価値や性能においては十分なロールと大差がないにも関わらず、プレイヤーの「気分が良い」という理由だけで価格が急激に高くなる現象が確認されています。
 
- 短期的な「気分の良さ」追求による長期的な「停滞」:- 「気分の良さを求めてマックスロールを買う」という短期的なアプローチは、無駄な出費によって次の主要アイテムへの到達を遅らせ、結果的に「自分が遅れている」という慢性的な不快感(停滞)という長期的な不幸を生み出すメカニズムであると結論付けられています。
 
- 「繋ぎの装備」における非効率なコスト:- 特に装備部位の多いハクスラゲームにおいて、「繋ぎの装備」の段階で良いもの(マックスロール)を求めると、美味しい狩り場(上位の目標)にすら到達できないという効率性の原則が提示されています。
 
- 「嫌悪」が「効率的な価値判断」を研ぎ澄ます:- マックスロールという「金を出せば手に入る一瞬の優越感」を嫌悪することこそが、「金銭的価値」と「実用的価値(効用)」のバランスを瞬時に見抜く訓練となり、効率的な判断力を育むという結論が導き出されています。
 
- 「価値が分からない」から「価格や評判」で判断する傾向:- 高いものを買うと気分が良いという一般的な傾向や、知識がない分野において「価格」や「評判」といった外部要因で価値を判断してしまうという、非効率な行動原理が示唆されています。
 
- 習慣(ハビトゥス)の分野間での不均一性:- LoLでは優れたハビトゥス(習慣や考え方)を持っていても、他の分野(例:部屋の片付け、未達成タスク)ではそれが適用されず、ハビトゥスが分野によって限定的であるという現実が自己言及されています。
 
- 「未達成タスクの即時処理」の重要性:- 「夏休みの宿題を3日で終わらせる」例や、「カミールのスキルがわからないならAI戦で触れるべき」という指摘を通して、先延ばしタスクへの嫌悪と迅速な処理(効率的な学習/行動)が、人生において最強のライフハックであるという行動原理が示されています。
 
✍️ あとがき
「嫌い」が「好き」より重要である、というブルデューの考えから、ハクスラゲームのマックスロールへの嫌悪が、いかに効率的な人生戦略に繋がるか、という話をしてきました。結局のところ、僕たちが本当に競い合っているのは、「最高のアイテムを手に入れた瞬間の一時的な気分の良さ」ではなく、「長期的な目標に、どれだけ無駄なく、迅速に到達できたか」という時間の使い方の巧拙なんだと思います。
例え話ではありますが、マックスロールに大金を払うダリウスの態度に嫌悪を覚えるのは、それが非効率の極みであり、停滞の道であることを知っているからです。
その一瞬の優越感が、結果として長期にわたる不快感(みんなに置いて行かれる焦燥感)を生む。
これが、ゲームからも私生活からも学ぶべき、最も重要な教訓かもしれません。
この記事の最後で、僕自身も「カミールのスキルを調べないプレイヤー」や「部屋を片付けない自分」を例に出しましたが、完璧なハビトゥスを持つ人間なんていません。
LoLやハクスラという限られた世界で身につけた「非効率なものへの嫌悪感」を、いかに他の分野(仕事や生活)に翻訳し、無駄な先延ばしタスクを消していくか。これが、僕自身も今まさに直面している、最大の課題です。
「掃除は5分だけする」というのも、大きな目標を前にしたときの「繋ぎの装備」戦略と似ています。
完璧なマックスロール(完璧な部屋)を目指してフリーズするより、実用的なロール(とりあえず5分だけ掃除)で次に進む。その積み重ねこそが、長期的な快適さを生む、唯一の方法なんでしょう。
これからも、ゲームというフィルターを通して、人生における「趣味の悪い非効率」を、ボソッと指摘していきたいと思います。
最初から効率にこだわると、
ロクなことにならない。
情熱が育たないから。
しかし、ある程度プレイした物事であれば、
非効率なことをする信念の芋臭さに、
いつか自分で気づく必要がある。
あまり非効率なことばかりしてても、
今度は有能感が育たない。
とりあえず
- 人間はマックスロールが好きだが、避けたほうがいい
全然納得してなくとも、
実行してみる価値のある考えだ。