広告 考察記事

長く使える知識 VS 刹那的な楽しさ:自己目的的動機と合理性の衝突

LoLプレイヤーは、
毎年この時期になるとTFTをする傾向がある。

LoLは新シーズン前だが、
TFTは新シーズンが来るからだ。

人間の習慣は毎日しないと止まるらしいので、
LoLから離れさせないための役割が、
TFTなのかもしれない。

この時期のTFTは、
LoLというゲーム全体から離脱しないためのつなぎ役だ。

1年に数週間しかしないと言っても、
既に数年しているので

  • レベルアップのタイミング
  • アイテムは同じチャンピオンに3つ付けるのが望ましい

など色々な基本がわかっているので、
今季は続けていればマスターになれる手応えを感じている。

しかしTFTは

「知識が陳腐化しやすいな」

とも思った。

そしてそのサイクルは

  • 私が今までプレイしたゲームで最も早い

ように思える。

※ 物凄く上手であれば、別な意見かもしれないが、そこは無視する。

プラチナ以上のLoLプレイヤーにわかりやすく言うと

  • まあまあ最速周回を練習しなければ使えないジャングルチャンピオンが3体いる
  • その3体はパッチごとに毎回入れ替わる

結構なキツさではないだろうか?

最初はTFTが面白いのだが、
ある程度の理解度までいくと、
真剣に取り組まないと勝てなくなってくる。

しかし

  • 陳腐化するとわかりきっているので、あまり覚える気がしない
  • 単純に覚える量が多い

と思ってしまうので、
TFTは頑張りが効かない。

どうやら、いつのまにか

  • 長く続ける予定、あるいは長く使える知識じゃないと覚える気がしない

という価値観を身につけてしまったようなのであった。

この記事はパッチ25.24の時に執筆されました。

スキルの陳腐化っぽい用語

  • スキル陳腐化 (Skill Obsolescence / Human Capital Obsolescence)
    • 個人が持つ知識や技術が、市場や職務の要求水準の変化により時代遅れになる現象。人材育成やキャリア開発の文脈で使われます。
  • 知識の半減期 (Knowledge Half-Life)
    • ある分野の知識のうち、半分が最新の情報や技術によって無効になるまでの期間。技術革新の速い分野で知識の更新の必要性を示す定量的な概念です。
  • 学習の投資対効果 (ROI of Learning) の低下
    • 学習コスト(時間、労力)に対して、知識が陳腐化によってもたらす価値(リターン)が低くなること。経営学や効率性の観点から用いられます。
  • 負の学習効果 (Negative Learning Transfer)
    • 既に深く身についた知識や経験が、新しい分野の学習を妨げたり、誤った判断を引き起こしたりする現象。心理学や学習科学の文脈で使われます。
  • 知識の減価償却 (Knowledge Depreciation)
    • 経済学的な観点から、知識という資産の価値が時間とともに低下していくこと。

大前提として、ゲームでも人間関係でも、
長く続けようとしないものはスキルの陳腐化を感じやすい。

あるいは感じるからこそ、
長く続かないのかもしれない。

人間は普通、バカで利己的で怠け者で、LoLもヘタクソなのだが、対人スキルだけは異常に高い。
ネットでもネット以外でも、一生懸命じゃないヤツはすぐにバレる。

怒りについて

怒りについて 他二篇 (岩波文庫 青 607-2) 

セネカが書いた有名な本である。

セネカはストア派3大哲人と呼ばれている人なのだが、
「怒りについて」というのは、
LoLプレイヤーにとってピンと来ないだろう。

大半のプレイヤーが、
「怒り」について
かなり上手に対処できるからである。

LoLは「怒り」を非常に感じやすいゲームで、
他のゲームの1万倍くらいは感じる頻度が高い。

ゆえに、

「自分の人生を破滅させるほどの怒り」

というのを持つことはない。

  • トップ・ミッドと順番を交代しない、ボット・ジャングル・サポート
  • 生活に支障をきたすほど怒る人

1はLoLプレイヤーならば誰でも嫌悪感を示す。

しかし2に対しても、
同じくらいの嫌悪感を示すのがLoLプレイヤーである。

頻繁に少しずつ怒るのがLoL流だ。
他のゲームはまず怒る機会がないので、怒りへの対処法を身につけることはできない。

カードゲームとハクスラに文字が読めない人は存在しない

いるかもしれないが、
そんな人は存在しないとされているし、
いても「プレイヤーじゃない」とされるはずだ。

これについて異論のある人はいないだろう。

次は少しだけ似たような話をする

ログが読めないと言った人狼ゲームプレイヤーの話

人狼ゲームには短期と長期があって、
長期の人狼というのは、
1週間かけて5万文字くらい書く。

以前、女子高生くらいの人が、

「長期の人狼ゲームはログが全然読めない」

と言っていた時があった。

彼女は長期でプレイするグループだったので、
みんなに怒られていた。

私は横から

「そんなに珍しいことじゃないよソレ」

みたいなことを言ったが、
怒られる人が1人増えただけだった。

私は真実を伝えようと思ったが、
流石に人間関係に響くので、
それ以上何か言うのは止めた。

「まず人狼ゲームのログ、そんなに読む価値感じねえだろ」

と🤓

理由はいくつかあって

  • ログが非常に長い
  • 非常に長いログを書く人が何人もいる
  • その長いログの情報が役に立つのは、そのゲームだけである

1~2 最後まで生き残っていた場合、
1回の長期人狼で読むログは、
カフカの変身より遥かに長い上に複雑だ。

※ 変身は12万文字くらい。

男女であっても、
1行ずつの会話なんて面白くない。

しかし100行ずつは、
雑談というには負担が大きすぎる。

3 このブログで読んだ本の話は頻繁にするが、
人狼ゲーム中の特定のログについて話したことはない。

マインドフルネスは大事だが、
人狼ゲームのログは、
そのゲーム中でしか役に立たない。

大昔にサービス終了したMMOや、
レトロゲーの裏技みたいなものだ。

人狼ゲームのログを記憶しても、人間関係において「ハッタリ」が効かなすぎる。
同じ文章を読むならば、ドストエフスキーの5大長編を読んだほうがいい。

自己目的的

🧐 自己目的的(Autotelic)の意味

自己目的的」とは、ある行動や活動そのものが、それを行う人にとって報酬であり、目的である状態を指します。

📌 要点:何のためにやるのか?

「自己目的的」な活動は、外部からの報酬や強制がなくても、それ自体が楽しく、やりがいがあるために継続されます。

  1. 活動自体が目的: 行動の結果として得られる利益(お金、名声、成績など)のためではなく、その行動をしているプロセス自体に価値を見出します。
  2. 没頭状態: この状態にあるとき、人は活動に深く集中し、時間や自己の意識を忘れることがあります。これは心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー(Flow)」体験と強く関連しています。
  3. 内発的動機づけ: 動機が自分自身の内部から湧き出ており、強い満足感や充実感をもたらします。

ゲームの場合、
1と2を満たすの簡単である。

しかし3を満たし続けるは難しい。

ソシャゲのデイリーを考えればわかる。

ある程度のインセンティブがなければ、
ログインすることすら難しいはずだ。

とにかく数分でいいから毎日行動しないと人間は辞めてしまうので、なんとかしてログインさせる必要があるわけだ。

💡 「自己目的的」の衝突:知識の寿命と楽しさ

TFTを

「長く使える知識じゃないと覚える気がしない」

と感じてしまうのは、

  • 「自己目的的」な動機
  • 「学習の投資対効果(ROI)」を求める合理性

が衝突しているからだ。

TFTはLoLプレイヤーにとって馴染みがあるせいか、
恐ろしいことに大半のコンシューマーゲームより面白い。

なので自己目的的にプレイするのは、そんなに不自然なことじゃない。

知識の寿命が短いと、楽しさ(フロー)はどこへ向かうのか?

「自己目的的」な活動とは、
活動そのものに価値を見出すことである。

TFTであれば、

「ゲーム中に自分が選択できる最強の構成を頭で組み上げるプロセス」

などが目的となる。

しかしTFTに少し飽きた私の頭は、
急に哲学者のようなことを考えだす。

「これは、私の人生の一片を使うに値するだろうか?」

と。

文章を読めるようになったのはカードゲームのおかげ

この間、自分の人生でハマった趣味をリストアップしたのだが、
そこで気付いたことがある。

中学生の頃、
熱心にカードゲームの説明書を読み込んだことがあった。

分厚いMTGのルールブックを、
朝学校に行く前、
学校で、
家に返ってからも、
ずっと読んでいたことがある。

それで文章を処理する技術や能力が
身についたのだと思った。

コンパウンド種目

腕立て伏せやベンチプレスのように、
色々な箇所の筋肉と使うトレーニングを、
コンパウンド種目という。

特に初心者のうちは、

「コンパウンド種目以外するな」

と言われるほどである。

  • 文章処理能力を高めたいから、難しい本を読む
  • カードゲームのルールブックを読んでいたら、勝手に文章処理能力が身についた

文章処理能力が未熟な場合、
2のほうが圧倒的に望ましいはずだ。

終わりに

  • LoLプレイヤーはLoLの新シーズン開始前にTFTの新しいシーズンが始まるため、この時期にTFTをプレイする傾向が見られます。
  • TFTは、日々の習慣が途切れてLoLから離脱することを防ぐ役割を担っている可能性があります。
  • TFTの知識は非常に陳腐化しやすく、そのサイクルの速さは筆者がこれまでプレイしたゲームの中で最も速いと感じられています。
  • 知識の陳腐化が避けられないため、TFTに対して真剣に学習しようという意欲が湧きにくく、頑張りが効かない状態です。
  • 筆者は「長く続ける予定、あるいは長く使える知識じゃないと覚える気がしない」という新しい価値観を無意識のうちに身につけてしまっています。
  • スキル陳腐化に関する専門用語として、個人の知識や技術が時代遅れになる「スキル陳腐化」や、知識が半減する期間を示す「知識の半減期」などが紹介されています。
  • 長く続けようとしないゲームや人間関係では、スキルの陳腐化を感じやすい、あるいは陳腐化を感じるからこそ長く続かないという因果関係が指摘されています。
  • LoLプレイヤーは、他のゲームプレイヤーに比べて「怒り」を感じる頻度が非常に高いため、自分の人生を破滅させるほどの大きな怒りへの対処法を身につけています。
  • 人狼ゲームの長期ログのように、情報量が膨大でありながら、そのゲーム中でしか役に立たず、汎用性がない知識の価値は低いと筆者は認識しています。
  • TFTのプレイにおいて、活動そのものが目的である「自己目的的動機」と、知識の寿命を考慮する「学習の投資対効果(ROI)」を求める合理性が衝突しています。

こうしてブログを書きながら、TFTについて色々と考えているうちに、一つの結論にたどり着きました。それは、TFTが「人生の使い切り」を突きつけてくるゲームだ、ということです。

TFTは面白い。本当に面白い。コンシューマーゲームの多くより、よほど優れています。それは間違いありません。しかし、その楽しさを支える知識が、まるで砂上の楼閣のように、次のパッチが来た瞬間に崩れ去ってしまう。

この「知識の半減期」の速さは、特に長期的な視点を持つ人間に、ある種の諦め冷めた合理性をもたらします。一時的な楽しさ(自己目的的なフロー)は提供してくれるものの、「これを覚えるのは、人生の一片を投じるに値するか?」という哲学的な問いが、どうしても頭をよぎってしまうのです。

昔、MTGのルールブックを読み込んだことで、文章を処理する能力が鍛えられたように、負荷が高い活動からは、普遍的なスキルが身につく可能性があります。しかし、TFTのように知識の寿命が極端に短いものは、プレイヤーに「目の前のゲームを楽しむこと」「長期的な学習の効率を求めること」のどちらかを選ばせているように感じます。

我々LoLプレイヤーは、頻繁な怒りへの対処法を知っていますが、TFTが突きつけるこの「知識の虚無感」にどう対処するかは、まだ課題かもしれません。結局のところ、長く続けようと思わないものに真剣に取り組むのは難しい、というのが人間の本質なのだと思います。

最後に私がよくやる方法を書く。

  • TFTやLOLを1試合(30分)する
  • 30分部屋の片付け、読書、執筆などをする
  • 1と2を繰り返す

ゲーム依存症でも、全く問題なく生産性を激増させる方法

仕組みは上のようになっている。

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