外発的動機づけ(他人に褒められるなど)でゲームを上達するのは難しいという話をする。
ゲームに限らず、ダイエット、英語学習、筋力トレーニング、部屋の掃除。
「一年の計は元旦にあり」
この言葉はもはや皮肉で、われわれの意志力のなさをバカにしているようにしか聞こえない。
実行するための動機づけはとても大事で、実はゲームが上手な人はゲームから動機づけを学べない。
逆に万年シルバーほど動機づけを学ぶチャンスがある。
まずは2種類のモチベーション(動機づけ)の話をしていこう。
この記事はパッチ11.18の時に執筆されました。
2種類のモチベーション
モチベーションは大きく分けて2種類。
- 外発的モチベーション
- 内発的モチベーション
われわれが単純にモチベーションと言った場合、1の意味で使っている。
LOLのラストヒットを通して説明しよう。
- ゴールドが貰えるからラストヒットを取る
- ラストヒットを逃すのはプレイヤーとして間違っているから取る
1が外発的、2が内発的。
名のあるプレイヤーは冗談抜きで
「ラストヒットをミスするのは倫理的に間違っている」
と思っているのである。
ではタイトル通り、レートの場合を見ていこう。
レートを上げたいのは外発的モチベーション
目の前のニンジンに釣られているわけなのだから、外発的プレイヤーなのは誰でもわかるだろう。
内発的プレイヤーはどう思うかというと、レートうんぬん気にしない。
外発的プレイヤーと内発的プレイヤーの腕前に差がありすぎるからだ。
内発的なほうがどの分野でも強いのだけど、実はこんなに差があるのは対戦ゲームの世界だけ。
どうして外発的だとダメなのか?
対戦ゲームをやり込んでも社会から褒められないからだ。
身も蓋もないことを言うと、現代社会では収入を得られないことを頑張るのは、遊んでいることになる。
対戦ゲームをするほどたくさん収入が増えるのでない限り、周りからは褒められない。
外発的モチベーションで対戦ゲームをしているのに、外発的報酬がないというのは、辛いでしょう?
LOLはレアアイテムも落ちない。
大昔に流行ったMMOは別で、24時間PC前に張り付いていないと狩れないレアモンスターのレアドロップとかあった。
レアなほど自慢できるわけだが、自慢できるアイテムが出るかもしれないという興奮こそ報酬なように思える。
「ダイヤまでチュートリアル」とか言うプレイヤーが存在する理由
LOLだと、どの国でもダイヤ4未満は97%らしい。
よくAPEXでもなんでも、「ダイヤまでチュートリアル」みたいな、わけがわからないことを言うプレイヤーが珍しくない。
実は彼の言っていることは正当性があるのだ。
下手(外発的)な人は競争相手が多いと思っていて、上手(内発的)な人は競争相手が少ないと思っている。
内発的プレイヤー視点の競争相手は少ない
人間は競争相手が多いと思うほど、競争する能力は落ちてしまう。
実際のプレイヤーの大半は次のような人が多い。
- 痩せたいと言いながら、寝る前にポテトチップスを食べる
- 英語できるようになりたいと言いながら、ツイッターの英語アカウントフォローして満足
- トレーニング器具を買っても一度しか使わない
- 部屋をキレイにしたいと言いながら、1つもゴミを捨てない
ダメ人間というか、われわれの日常。
私も使っていないトレーニング器具を5つ持ってる。
実際にやる気があって行動する人は少ない。
というわけで、やる気がある人にとって大半の人は競争相手じゃない。
外発的モチベーションは悪くないが、なぜレートが報酬になるのか?
基本的にゲームは有能感を得やすくデザインされており、有能感を得たいからする。
- 有能感を得たい
- 有能感をレートでしか判断できないほどゲームが苦手
- 有能感を得られるような体験が他にない
有能感とは「自分には能力がある」と思える状態のことだ。
順番に説明していく。
ゲームは有能感を得やすい
ゲームはなろう小説のようにチヤホヤしてくれる作りになっている。
ユーザーをたくさん褒めるように作られているという話は、あなたも聞いたことがあると思う。
だから自分に厳しく、なかなか自分を褒めない人でも、気持ちよくなりやすい。
部屋を片付けるコツは、ゴミを1個捨てるごとに自分を褒めること。
怒っているゲーム
私は実際にプレイしたことがないのだけど、”星をみるひと”というクソゲーの話をする。
このゲームはクリアしただけで凄いと言われるそうだ。
理由は最初のフィールドに出てくる雑魚敵が、ドラクエでいうギガデインを使ってくるからである。
あまりにも厳しい難易度だ。
一生試練を与えてくるゲームをプレイし続けるのは辛い。
レートでしか判断できないほどゲームが苦手
人間はスキルを細かく分解して覚える。
ただ苦手なことは、なぜかそういった覚え方ができない。
※ 心理的な問題だと思う。
だから目に見えるレートで判断するしかないわけだ。
文章の場合
LOLはレートが高いと上手。
文章は閲覧数が多いと上手。
大きく間違ってはいないけれど、この考えは誰でも疑問が残るはずだ。
基本となる文章スキルを挙げてみよう。
- 1文を60文字以内(短く)にする
- 執筆テンプレートを覚える
- 見た目を整える
- 推敲(見直すこと)する
- 簡単な言葉を使う
こういった基準がないと、勝った負けたで一喜一憂するシルバー民の気持ちになってしまう。
スキルを分解して、自分なりの成功基準を作り、心理的な問題を乗り越えると、書くのは一気に楽になる。
LOLに限らずなんでも同じ。
正直自分でこういった方法を発見するのは大変だった。
有能感を得られるような体験が他にない
話が暗くならないように、ここは逆にLOLで有能感を得ている私が、20時間APEXをした時の話をしよう。
箇条書きで書く
- 最初は溶岩、山の上、海にジャンプしていた
- ホットスポットに降りて、後は味方に任せる
- 戦闘も全て味方に任せる
- MAPがわからないので、ローバーを使って味方の後ろをついていく
- 味方がダウンした時にテルミッドグレネードを投げる
- 一度も射撃場で練習しなかった
コレでプラチナ手前まで行った。
多分ダイヤまで行けると思っているのだけど、こんなやる気も情熱もないゴミみたいなプレイは時間の無駄なので、APEXはしなくなった。
面白いゲームだったのだけど、私がAPEXをやって歓迎してくれる人が1人もいないし、辞めたわけだ。
ソラカで後ろからWだけして、味方が強い時に勝利するようなウンコプレイヤー。
しかしレートを挙げようだとか、後ろめたさとかは一切なかった。
何やっても後ろめたさを感じないのは有利に働く。
私が自分から調べた情報は、速く目的地に到達できるジャンプ方法だけ。
ゲームが下手な人はコミュニティーで悲惨な扱いを受ける
情熱がないのにゲームしているのであれば、暇なヤツだと思われるからだ。
特に対戦ゲームが上手なプレイヤーは人を見る目がある。
自分をズタズタにしてこようとする相手の意図を正確に読み取れないと、ゲームに勝てないのだから、必然的にそうなってしまう。
- やる気がないのに対戦ゲームをしているのは何故か?
- 他にやることがないからだ
流石にこんなことを面と向かって人に言うヤツはいないが、他人というのは、うっすらそんなことを思っていたりするものだ。
ちなみにゲームに限らず、人間はズルい人間を見抜ける必要がある。そうじゃないと元気に生きていけない。
ゲームをしても動機づけのスキルは身につかない
楽しいからやるのがゲームだからだ。
いくらゲームを続けても、死んでもやりたくないことを継続できるようになるスキルは身につかない。
しかしゲーム以外のことは、下手すぎて苦痛のレベルからスタートする。
ゲームが上手なプレイヤーはそういったことを学ぶ機会がない。
ゲームが強いヤツは理想的なプレイヤーじゃない
- 計画的練習
- 高いEQ(心の知能指数)
こういうのを持ち合わせているように見える。
知的というか、文武両道というか。
実際はただ偶然、そのゲームに対して内発的動機づけができているだけ。
冒頭でも書いたとおり、最初に下手な人のほうが学ぶ機会がある。
終わりに
- LOLが上手になりたいと思ったら内発的モチベーションが必要不可欠
- 内発的になれば実際の競争相手は少ない
- ゲームは有能感を得やすい
- スキルは細かく分解しよう
- ゲームをしても動機づけのスキルは身につかない
芦澤サキちゃんにいいねされれば、またいいねが欲しくなる。
魔女に呪いを撃ち込まれた戦士、あるいは依存実験のマウスのよう。
しかしレートが欲しいとか、上達したいと言っている人が、毎日ラストヒット練習をしているという話を聞いたことがない。
外発的モチベーションが全然上手に働いていないわけだ。
本当にレートを上げたいのであれば、全く練習せず一生同じチャンピオン同じビルドで毎日プレイしたりしない。
ロウソク問題
内発的モチベーション>外発的モチベーションとなっている。
しかしモチベーション自体はあったほうがいいので、やはり対戦ゲームの外発的モチベーションは全く機能していないように見える。
関連図書など
競争相手が多い、タスクが大きい、みたいなことは思わないほうがいいと書いてある本。
私もどちらかというと頑張れないタイプ。
動機づけ、計画性、夏休みの宿題。
ゲーム上手な人はここらへんが壊滅的。