高名な文化人類学者レヴィ・ストロースいわく、
「成長」や「発展」を絶対的な善とする価値観は、
特定の文化(特に西洋近代以降の文明社会)に特有のものであり、
普遍的なものではないそうだ。
しかし我々は現代人なので、
LOLを1週間に数時間するのであれば、
上達していきたいわけだ。
LOLを数年やっていてプラチナ未満だったり、
あるいは「ランクに1回も行ったことない」みたいなことを言えば、
舐めに舐められるわけだ。
つまり
- 我々には「成長」や「発展」を絶対的な善とする価値観がある
- 我々には「怠惰」や「衰退」を絶対的な悪とする価値観がある
今回はマインドセットについて書く。
有名な本なのだけど、
書いたことはなかったことに気づいたからだ。
この記事はパッチ25.04の時に執筆されました。
2つのマインドセット
この本で最も重要なのは、
以下の2つのマインドセットの概念だ
硬直マインドセット (Fixed Mindset)
- 考え方: 能力は生まれつき固定されており、変わらないと信じる。
硬直マインドセットの特徴は
- 失敗を自分の能力不足の証明だと捉え、避ける傾向がある。
- 努力は無駄だと考え、才能だけで成功できると信じがち。
- 他人からの批判や評価を恐れる。
- 挑戦を避け、安全圏にとどまろうとする。
成長マインドセット (Growth Mindset)
- 考え方: 能力は努力や経験によって伸ばすことができると信じる。
成長マインドセットの特徴は
- 失敗から学び、成長の機会と捉える。
- 努力は能力向上のために不可欠だと考える。
- 他人からのフィードバックを積極的に受け入れ、改善に活かす。
- 困難な課題にも積極的に挑戦する。
本書の主張
ドゥエック氏は、
「成長マインドセットを持つことの重要性」
を強く主張している。
成長マインドセットを持つ人は、
- 困難な状況でも粘り強く努力を続けられる。
- 失敗を恐れず、新しいことに挑戦できる。
- 常に学び続け、成長し続けられる。
その結果、長期的には、
硬直マインドセットの人よりも
大きな成果を上げることができると述べている。
単純に硬直マインドセットの人間は舐められる
一般的に、多くの人々は、
- オンラインゲーム(例えばLOLなど)があまり得意ではない
- ずば抜けて高い知能を持っているわけではない。
- どちらかというと怠けがちである。
しかし、不思議なことに、
- 他人を見たときに、その人がどのような人物であるかを見抜く能力だけは高い。
普通の人、あるいは、
特に精神的な発達に偏りがないとされる人々(いわゆる健常発達)は、
人間関係を読む力、人を見る目、人の本質を察知する能力が、
あまりにも鋭敏である。
あなたがいじめっ子だったら?
夏休みの間に
- 毎日3時間体を鍛える
- 毎日5時間格闘技の練習をする
- 毎日5000キロカロリーを取る
このような努力をできそうな人に対して、
あえて不当な扱いをしたり、
敬意を欠いた態度を取ったりするだろうか。
普通に考えれば、そのような行動は賢明ではない。
つまり、成長のために努力を惜しまない人は、
周囲から一目置かれる存在となり、
結果的に、不当な扱いを受けにくい。
一方で、現状に甘んじ、努力を避ける人は、
周囲から軽く見られがちになる(舐められる)。
マインドセットを変えるには
硬直マインドセットから成長マインドセットへと変わるための
具体的な方法は
- 自分のマインドセットに気づく: 自分がどちらのマインドセットを持っているか、日々の思考や行動パターンから認識する。
- 成長マインドセットの言葉を使う: 「まだできない」を「まだできるようになっていない」と言い換えるなど、言葉遣いを変える。
- 努力の過程を重視する: 結果だけでなく、努力やプロセスを褒める、評価する。
- 失敗から学ぶ: 失敗を分析し、次に活かす方法を考える。
- 挑戦を楽しむ: 新しいことに挑戦し、成長の機会を増やす。
本には上のようなことが書いてあった。
しかし私は、ディスタンクシオン的な方法を推奨したい。
- 硬直マインドセットよりも成長マインドセットのほうがオシャレでカッコいい
だから身につけよう、という考えだ。
人間身につけられる文化資本(知識、能力、素養、資格など)には限りがあるのだけど……
LOLで例えてみよう
- 5つのロールを全部できる必要はない
- 複数のチャンピオンを使える必要はない
- 押せもしないクレンズは持っていかない
こういったことは誰にでもわかるはずだ。
得意なことは多い方が良い。
しかし、時間には限りがある。
だから、人が生涯で身につけられる文化資本にも、
当然限りがある。
ここで、こう思わないだろうか。
「硬直マインドセットは、果たして自分で選んで身につけた文化資本なのだろうか?」
と。
そして、誰もがこう問いかけるだろう。
「その硬直マインドセットは、あなたが積極的に獲得しようとしたものなのか?」
と。
仲間内でクイックプレイやカスタムゲームをするときに、
一目置かれたい、活躍を見せたいという思いから、
ドレイヴンを必死に練習するのは、
マークスマンメインならば誰もが通る道だ。
そのように硬直マインドセットを獲得しようとした人は、
歴史上いないのでは?
硬直マインドセットの人は、LOL風に言えば「クソnoob」だ。
数年LOLをしてるのに、ルーンの効果すら知らないヤツと同じ種類の人間と言える。
終わりに
- レヴィ=ストロースによれば、「成長」や「発展」を絶対視する価値観は、西洋近代以降の文明社会に特有のものであり、普遍的なものではないとされている。
- 現代社会に生きる我々は、「成長」や「発展」を善とし、「怠惰」や「衰退」を悪とする価値観を内面化している。
- 『マインドセット』という本では、「硬直マインドセット」と「成長マインドセット」という2つの主要な概念が提示されている。
- 硬直マインドセットは、能力は固定的であると信じ、失敗を避け、努力を無駄と考える傾向がある。
- 成長マインドセットは、能力は努力によって伸ばせると信じ、失敗から学び、挑戦を楽しむ傾向がある。
- 成長マインドセットを持つ人は、困難な状況でも努力を続け、長期的には大きな成果を上げることができるとされている。
- 一般的に、人は他者の能力や性格を見抜く能力に長けており、努力しない人は低く評価されやすい。
- 努力し成長しようとする人は、周囲から一目置かれ、不当な扱いを受けにくい傾向にある。
- 硬直マインドセットは、本人が積極的に選択して獲得した文化資本とは考えにくい。
- 硬直マインドセットを持つ人は、努力や学習を怠る人と同様に、周囲から低い評価を受ける可能性がある。
「成長」や「発展」は、本当に絶対的な善なのでしょうか? 文化人類学者レヴィ=ストロースの視点に触れ、私たちは普段当たり前のように受け入れている価値観を、少しだけ疑ってみました。
もちろん、現代社会で生きていく上で、成長を求めることは自然なことです。ゲームで上達したい、仕事で成果を上げたい、より豊かな人生を送りたい...。そういった向上心は、私たちを突き動かす原動力となります。
しかし、その一方で、「成長しなければならない」「常に前進しなければならない」という強迫観念にとらわれてしまうと、息苦しさを感じてしまうこともあります。
今回取り上げた『マインドセット』という本は、そんな私たちに、もう一つの選択肢を示してくれています。「成長マインドセット」を持つことで、私たちは、失敗を恐れず、努力を楽しみ、変化を受け入れることができるようになるかもしれません。
ただ、ここで注意したいのは、「成長マインドセット」さえ持てば全てが解決する、という単純な話ではないということです。本書の後半で触れたように、そもそも「硬直マインドセット」は、本人が望んで身につけたものなのでしょうか? 生まれ育った環境、受けてきた教育、社会からの圧力...。さまざまな要因が複雑に絡み合って、私たちのマインドセットは形成されます。
だからこそ、私は、ディスタンクシオン的なアプローチ、つまり「成長マインドセットって、なんかカッコいいよね」という、ある意味ミーハーな動機から入るのもアリだと思うのです。ファッションや音楽の趣味を選ぶように、自分のマインドセットも、もっと自由に、柔軟に選んでいいのではないでしょうか。
最後に、LOLに例えた部分について、少し補足させてください。ゲームの世界では、上達の度合いが、ランクや勝率といった形で、明確に可視化されます。だからこそ、「成長」や「発展」を求める気持ちが強くなりやすい。そして、努力しないプレイヤーは、「noob(初心者)」と呼ばれ、軽蔑されることもあります。
しかし、現実の世界は、ゲームほど単純ではありません。何をもって「成長」とするのか、その定義も人それぞれです。他人からの評価を気にしすぎるのではなく、自分自身の内なる声に耳を傾け、自分なりの「成長」の形を見つけていくことが大切なのではないでしょうか。
この文章が、あなたのマインドセットについて考える、一つのきっかけになれば幸いです。
2.0 Pro Experimental
最近、ケトジェニックダイエットに挑戦中だ。
腹筋が割れるまで頑張るつもりでいる。
このダイエット法は、炭水化物を抜いて、
タンパク質と脂質だけを摂るというもの。
毎朝、目玉焼きを5個食べているんだけど、
これが本当に面白くもなんともなくて、正直、辛い。
※ 夜に卵食べる気しないので、朝に我慢して食べる。
このようなことをしている理由は、
単なる見栄に過ぎない。
インターネットで文章を書き始める際、
最初に
- 「ですます調」と「だである調」
のどちらを選ぶべきか悩んだ。
しかし、どちらの文体を選んでも、
どこか知識人を気取ったような、
鼻につく印象を与えてしまうのではないか。
そもそも文章を書くという行為自体が、
知識階級を気取っているように感じられるものだ。
普通の人であるならば、
何かを身につける動機として、
- 「見栄を張りたい」
という気持ちがあるのは、
むしろ自然なことだと思える。
何かの成果を上げたり、
目標を達成したりするためではなく、
- 硬直マインドセットの人間は魅力的でない
という理由で避ける。
そのような動機こそが健全であると私は考える。
おまけ アインシュペナー
ウインナーコーヒーのかぶれた言い方を、
アインシュペナー(アインシュペンナー)と言う。
「アインシュペナー(Einspänner)」はドイツ語で、直訳すると「一頭立ての馬車」を意味します。
この名前の由来には、主に2つの説があります。
- 馬車の御者説:
- かつてウィーンでは、一頭立ての馬車(Einspänner)の御者たちが、よくこのコーヒーを飲んでいたとされています。
- 彼らは、寒空の下、片手で手綱を持ち、もう片方の手でコーヒーカップを持っていました。
- 冷めないように、また、揺れる馬車の上でもこぼれないように、たっぷりのホイップクリームでコーヒーに蓋をしていた、という説です。
- 一杯のコーヒー説: *「Einspänner」という言葉には、「一つの」という意味も含まれています。 *「(たっぷりのクリームが乗った特別な)一杯のコーヒー」という意味合いから名付けられた、という説です。
どちらの説が有力か、はっきりとした結論は出ていませんが、いずれにしても、馬車と関係がある、あるいは、特別な一杯のコーヒー、というイメージが名前の由来となっているようです。
アインシュペナーの特徴と楽しみ方
- 冷めにくい: ホイップクリームが蓋の役割をするため、コーヒーが冷めにくい。
- 味の変化を楽しめる: 最初はクリームの甘さとコクを、次にコーヒーの苦味を、そして最後は混ざり合った味わいを楽しめます。
- 混ぜないで飲むのが一般的: クリームとコーヒーを混ぜずに、層を味わうのがウィーン流とされています。
- 見た目が美しい: グラスに注がれたコーヒーとクリームのコントラストが美しい。
アインシュペナーは、ウィンナーコーヒーと混同されることがありますが、ウィンナーコーヒーは日本独自の呼称であり、本場ウィーンではアインシュペナーと呼ばれています。
2.0 Pro Experimental(AIなので嘘があるかもしれません)


生クリームは脂質が多く糖質が少ないため、
ケトジェニックダイエット中に
甘いものが欲しいときの選択肢となる。
先日、来訪した裕福な友人に、
その知識を披露しつつ、
アインシュペナーを振る舞った。
※ 砂糖ではなくハチミツを入れて泡立てた😎
これは、ケトジェニックダイエット中に習得した、
私なりの文化資本の活用例である。
成長マインドセットは、
このコーヒーとまったく同じだ。
自分1人でコーヒーを飲む時に、
こんな量の生クリームを入れる人はいない。