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【書評】メンタル脳【アンデッシュ・ハンセン】

ストレス、不安、うつ病などの感情は、
サバンナで狩猟採集民として暮らしていた時代には、
生存のために不可欠なメカニズムであった。

現代社会ではこれらの感情が過剰に働き、
逆に私たちを苦しめている可能性について論じている。

今回の記事では
アンデシュ・ハンセンの「メンタル脳」を紹介したい。

本書では、脳の仕組みを理解し、
運動や人間関係を通して脳をサポートすることで、
より良いメンタルヘルスを手に入れるための方法を提示している。

また、遺伝的な要素と環境的な要素が複雑に絡み合って
メンタルヘルスの状態が決まること、
そして自己肯定感や自己効力感を高めることの重要性も説いている。

この記事はパッチ14.14の時に執筆されました。

人間の感情は、進化の過程で「生き残る」ために発達したツールである

人間の感情は幸せになるためではなく、
生き残らせるために発達したそうだ。

あなたは脳だとする。

LOLをプレイしている最中のプレイヤーに、
好きなタイミングで好きな感情を送れるとしよう。

その場合

  • 戦ったら勝てる見込みが高い時、ポジティブな感情を放出する
  • 戦ったら負ける見込みが高い時、ネガティブな感情を放出する

こうするはずだ。

逆の感情を放出するのは考えられない。

たったコレだけの説明で、感情についての大半はわかったと思う。

脳みそは説明、まとめ、要約された感情を放出する

人間の行動は、
常に脳によって「説明」され、
「要約」された感情に基づいて決定されている。

例えばインターネットには、
普通に会話できない人が珍しくない。

相手が私を認識している場合、
まともに会話できない理由は

  • 身体が小さい男性だから
  • 男性が好きな男性だから

どちらか、あるいは両方と決めつけている。

1と2 一般的な成人男性は、
同じ成人男性の話を全然聞かない。

そのへんの石ころと同じように見えており、
道端でダンゴムシやカタツムリを見かけたほうが、
まだポジティビティが湧く。

なので普通に会話できない男性というのは、

  • 危険だと思っているから

会話できないわけだ。

子供の頃は学校の先生と話しにくかったが、
アレに近い。

身体のサイズに大きな差があれば、
緊張するのは当たり前である。

好きな女性と話す時に緊張するのは、誰でもわかるだろう。

現代社会ではストレスが増加している

人間の歴史の99.9%の時間、2人に1人が10代になる前に死にました。
私達の脳がそういった種類の危険に強く反応するように進化したのも無理はありません。

現代社会におけるストレス増加の理由として、
人間の脳が進化した環境と現代社会の環境の違いが挙げられる。

人間の脳は、危険が多く、
生き残るために常に警戒が必要だった時代に合わせて進化した。

現代社会は、昔に比べて物質的に豊かで、
危険も少なくなっている。

しかし脳は進化した当時の環境に基づいて反応するため、
実際には危険ではないことにも
過剰に反応してしまう。

SNSとスマートフォン

具体的には、
現代社会におけるストレス増加には、
SNSの影響が大きく関わってる。

SNS上では、多くの人が理想的な自分を演出しようとするため、
それを見る側は自分と比較して劣等感を抱きやすくなってしまう。

脳は、集団の中で自分の地位が下がることを最も恐れているため、
SNSでの比較によって、

「自分は集団から追い出されるかもしれない」

という不安を感じてしまうわけだ。

また、現代社会では、
常にスマートフォンが手元にある状態であることも、
ストレス増加に拍車をかけている。

スマートフォンを通して、
常に自分よりも優れていると感じる情報に触れることで、

脳は

「自分が集団ヒエラルキーの下位にいる」

という誤った認識をしてしまう。

その結果、不安や気分の落ち込みを感じやすくなる。

孤独の問題

現代社会において、
多くの人がスマートフォンやインターネットに常時接続していることで、
皮肉にも孤独感を抱える状況が増加している。

これは、常に誰かと繋がっている状態でありながら、

  • 心から求める社会的接触が得られていない

というギャップが生じているためと考えられている。

人間は、誰もがなろう小説の主人公のように接して欲しい。

人間はトップレーナーじゃない

人間は進化の過程で、
集団の中で生活することが生存に有利であったため、
孤独は危険な状態と認識されている。

横から敵が飛びかかってきたら、
一瞬でやられてしまうマークスマンに近い。

現代社会においても、
この本能的な不安感は根強く残っており、
孤独を感じること自体がストレスとなり、
メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が高い。

また、孤独はうつ病などの精神疾患のリスクを高めるだけでなく、
免疫系の機能を低下させ、
寿命にも影響を与える可能性も示唆されている。

スワームを1人でプレイしていた人は、ちょっと考えたほうがいいかもしれない。

他者との交流を持つことの重要性

信頼できる友人や家族との関係を築くことは、
幸福度を高めるために最も重要な要素の一つだ。

しかし、孤独を感じている人に対して、

「友達を作りなさい」
「外に出かけなさい」

といった安易な言葉をかけることは、
逆効果になる可能性が高いそうだ。

大切なことは、その人が孤独を感じている原因を探り、
その上で、本人が安心して交流できるような環境を提供することだ。

具体的には、以下のような方法が考えられる。

  • 趣味や興味関心を共有できる場に参加する
  • ボランティア活動など、社会貢献活動に参加する
  • 相談しやすい雰囲気のカウンセリングを受ける

「ゲーム内で毎日知らないヤツに話しかけろ」ってコーチングで教えている。

運動の効果

小手先のテクニックではなく、

「とりあえず運動しろよ」

というのがアンデッシュ・ハンセン流だ。

運動をすると

  • 体の器官や組織を強くする
  • 脳脊髄液を安定させる
  • 肺の酸素摂取能力を向上させる
  • 心臓や肝臓も強くする
  • 幸せな気分になる可能性が上がる
  • 不快適な感情やリスクが減る

カッコいい身体を作るとなると、突然強度がとんでもなく上がるので、避けたほうがいいかもしれない。

うつ病になる原因は?

うつ病は、長期間のストレスが最も一般的な原因の一つである。

脳が長期間「闘争か逃走か」の状態にあると、
危険にさらされているというシグナルが出続け、
「引きこもって本体を守った方が良い」という状態になってしまう。

※ コレは言われてみれば、誰でも一瞬で納得するだろう。

これが「気分の落ち込み」という感情になり、うつ病になる。

運動は、ストレスから体を守るための体のメカニズムを活性化させることで、うつ病のリスクを低下させる。

幸せの捉え方

人間は「幸せ」を永続的な状態として捉えるのではなく、
進化の過程で得た生存のためのメカニズムと
関連づけて捉えるべきである。

LOLで例えてみよう。

あなたはマークスマン、
あるいは柔らかいミッドメイジだとする。

  • 突然茂みからモルガナQが飛んできた
  • ヤバいと思ったので避ける(ネガティブな感情)
  • 避けられたのでホッとする(幸せ)

逆にあなたが友人と遊ぶために、
下げランしていたとしよう。

  • 突然茂みからモルガナQが飛んできた
  • 当たろうが避けようが何も感じない

最初の「ヤバい」という感情がないので、
「ホッとする」こともないわけだ。

不快を避けて快楽を得るコンテンツをすると、とんでもなくマズいことになるという本が、「ドーパミン中毒」だ。

ずっと幸せだとマズい

人間は、常に満足し続けるようにできていない。

もし、原始時代の人間が食料を手に入れたときに満足し、
それ以上行動を起こさなかったら、
すぐに飢餓に陥っていただろう。

つまり

  • 食料を探し続けないとマズい

という切迫感が必要だったわけだ。

食べ過ぎで死ぬ人のほうが多い現代社会で、
食料を探し続ける人は少ない。

ただ食料と同じように
物質的な豊かさや快楽を得ても、
すぐに新しい目標や欲望が生まれる。

LOLで初めてゴールドに上がってゴールド報酬を貰って、
それで一生満足してる人なんて、
おそらく1人も存在しないだろう。

つまり、人間は本質的に「不満足」な生き物であり、
これは、常に危険や不足と隣り合わせだった環境で生き延びるために
必要な進化の結果である。

常にちょっと飢えているのが人間なのだそうだ。

「幸せ」を「常に楽しい、満足した状態」と定義づけてはいけない

本書では「幸せ」を

「常に楽しい、満足した状態」

と定義づける一般的な風潮に警鐘を鳴らしている。

広告などによって作られた「幸せなイメージ」に囚われると、
現実とのギャップに苦しみ、
「自分は幸せではない」という錯覚に陥りやすくなるからだ。

本書では、より長期的な視点から「幸せ」を

  • 「人生の進む方向性に満足しているかどうか」

と定義している。

目標達成の瞬間的な喜びよりも、
目標を達成するまでの過程に意味を見出すことが重要だ。

真の「幸せ」とは、目標達成の瞬間的な喜びではなく、
日々の生活の中で「フロー状態」を経験すること、
つまり、自分が熱中できる、意味のある活動に没頭することから生まれる。

特に、他者と共有できる共通の目標や活動に共に取り組むことは、
より大きな「フロー状態」と、それに伴う幸福感をもたらす。

脳科学の知見

本書で紹介されている脳科学の知見は、
日常生活において、

  • 感情との付き合い方
  • ストレスや不安への対処法
  • 人間関係の改善

などに役立てることができる。

感情との付き合い方

脳は生存を最優先し、
そのために様々な感情をツールとして駆使している。

これは、時に過剰な不安や恐怖、
気分の落ち込みを引き起こす可能性もあるが、
これらの感情は決して「悪いもの」として排除するのではなく、
脳が私たちを守ろうとしているサインとして受け止めることが大切だ。

LOLの場合だと

  • 上手な人は内受容感覚を大切にする
  • 下手な人は内受容感覚を重く受け止めない

「負けグセ」っていうのだろうか。

やはり大きく下手だと、
特別に賢い人じゃない限り
自分自身を改善できない。

人生は逃げ続けて生き延びれば良いのだけど、LOLは必ずどこかで戦う必要がある。

ストレスや不安への対処法

「運動しろ」

というのがアンデッシュ・ハンセン流。

ただ運動とは、
アリとキリギリスでいうとアリ側の動きだ。

なのである程度裕福な人じゃないと、
運動自体できないだろう。

LOLで「いますぐ上達したい!!」っていう人を見た時の我々の眼差しは、かなり冷たいものになるはずだ。

人間関係の改善

人は他者とつながり、グループに属することで
安心感や幸福感を得られるように進化してきた。

※ 1人だと獣に勝てないので。

しかし、現代社会ではSNSなどを通して、
常に他人と自分を比較し、
劣等感を感じてしまう状況に陥りやすくなっている。

このような状況においても、
脳が進化の過程で得てきた「他者とのつながり」を求める性質を理解し、
実際に人と会って会話をすることや、
共通の目標を持つことの重要性を説いている。

「他人と自分を比べるな」と、10代の時、頻繁に友人に言われた。
とんでもないヤンキーだったけど、ヤンキーのほうが早熟なのだろう。

終わりに

  • 人間の感情は生存のためのツール
  • 現代社会はストレスを増大させる
  • 孤独は危険信号
  • 運動はストレス解消に効果的
  • 幸せは相対的なもの

この記事では、
アンデシュ・ハンセン氏の「メンタル脳」を参考に、
現代社会におけるメンタルヘルスの問題と、
脳科学の観点から見た解決策について考察した。

人間の感情は、進化の過程で生き残るために発達したツールであり、
現代社会においては必ずしも私たちに有益なものではない。

※ 延々と先延ばしし続けるのは、食料がたくさんあるせいじゃないか?

しかし、脳の仕組みを理解し、
運動や人間関係を通して脳をサポートすることで、
私たちはより良いメンタルヘルスを手に入れることができる。

この記事が、あなた自身のメンタルヘルスについて考えるきっかけになれば幸いだ。

Eスポーツの欠点

Eスポーツに限らずゲームとは

  • フロー
  • 人間関係の改善

に効果を発揮する。

「始めた瞬間ゴールドになるAPEXは嫌だよ」

っていう少し気取った奴らが、
LOLプレイヤーというわけだ。

しかしLOLを毎日3時間やっても、
少しも運動時間を稼げない。

実際のスポーツと違って、
運動の恩恵を得られない。

LOLならばデスクをスタンディングデスクにしたり、
デスクの前にディップスバーを置くのがオススメだ。

味方にトロールが湧いても、
身体を鍛えるチャンスになる。

幸せのレシピ

  • 一緒にいて快適で、信用出来る人たちに囲まれる。
  • 夢中になれて、意味を感じられることをする(他の人に対しても意味を感じられるようなこと)。
  • 1と2を繰り返す。

アンデシュ・ハンセン; マッツ・ヴェンブラード. メンタル脳(新潮新書) (p.129). 新潮社. Kindle 版.

関連図書など

今回書いたメンタル脳は、
ストレス脳の10代向けのバージョンである。

なので下のストレス脳の書評にも、
似たようなことが書いてあるだろう。

著:アンデシュ・ハンセン, 翻訳:久山葉子
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