書評

【書評】ドーパミン中毒【アンナ・レンブケ】

アンナ・レンブケのドーパミン中毒という本を読んだ。

なのでその感想および内容を書く。

結構長い本なのだけど内容はシンプルで

  • 快楽と苦痛は脳の同じ部分を使う
  • シーソーのようなもので、一方に傾けると、その後もう一方に傾く

というものだ。

依存症からの脱出法も詳しく書かれているが、
そこは飛ばして、
シーソー部分を主に書いていく。

この記事はパッチ14.4の時に執筆されました。

まずドーパミンとは何か?

フィギュアを集めるのが好きだった友人の話をしよう。

私は彼に

「当時フィギュアの何が魅力だったんだ?」

と聞いた時、
彼が答えたことは

「欲しくなって買うまでの瞬間が気持ちいい、買った後は面白くないよ」

と言っていた。

もう少し気取った返答をするかと予想していたのだけど、
彼は正直に答えたみたいだ。

聞いた瞬間は、

「LOLのゴールドやプラチナみたいなこと言ってんなコイツ」

と思ったが、
彼の返事はドーパミンを的確に描写していた。

すなわち

「好き」

というよりも、

「欲しい」

という感情がドーパミンである。

「好き」ではなく「欲しい」なのだから、
手に入れた後は興味を失うわけだ。

「急いでアレを手に入れろ」と行動させる感情がドーパミンである。

ドーパミン経済

大昔に比べれば、
ドーパミン発生装置みたいなものは、
近年どんどん増えていっている。

やはり時代が進むにつれて、
ドーパミンが出るものへの

  • アクセスのしやすさ
  • 種類
  • 効能

これらはどんどん大きくなっている。

昔はドーパミンは生存に有利な感情だったが、
現代では賢い人につけこまれまくっているわけだ。

苦痛と快楽のシーソー

苦痛と快楽は脳の同じ場所で処理されるそうだ。

我々が何もしない場合、
苦痛と快楽のシーソーは水平を保っている。

  • 大きな快楽が来ると、シーソーは一時的に快楽に傾く
  • その後、脳は状態を水平に戻そうとする
  • 水平になった後は、快楽の時と同じ分だけ苦痛側へ傾く

ホメオスタシス(恒常性)と言って、
生き物なら誰でも持っている機能なんだそうだ。

しかしそんなことを考えなくとも、
さきほどの3行だけで誰でも納得するだろう。

思い当たる節しかない。

快楽はスノーボールしない

LOL風に言えば、

  • 快楽はスノーボールしない

となるだろう。

中盤25キル持ったカタリナが、
反応できない速度でキルしてくる。

なんてことはドーパミン界ではないらしい。

ドーパミン界だったらどうなるのか?

  • 25キルを持ったら、次の試合では25デスしてアカウント停止される

こうなるそうだ。

ドーパミンが出ても、その瞬間に気分がいいだけで、別に活躍しないし能力も上がらない。

耐性(神経適応)

「渇望」とは、
快楽の残像であるらしい。

  • 2枚目のポテトチップス
  • LOLの試合をもう一度しようとする行為
  • 返信が返ってくるかどうか曖昧な女性に話しかける行為

こういうことが渇望らしい。

なんだかあまりカッコよくない。

渇望とは、
もう少しカッコいい言葉だった気がするのだけど。

単純な解決策

  • 食べ続ける
  • やり続ける
  • 見続ける
  • 読み続ける

これがモンキーアプローチというヤツだ。

※ 猿に失礼じゃないか? と書くたび思う。

こういうことを続けると、
次にどうなるか?

あなたなら読まなくてもわかるはずだけど、
一応書いてみよう。

神経適応によって同じ量では効果がなくなる

毎朝コーヒーやココアに砂糖を入れて飲む、
そういう習慣がある人がいるとする。

我々から見た場合、

  • 砂糖の量はどんどん増えていく可能性が高い

そのように感じるはずだ。

何故かというと

  • 砂糖自体が嗜好品である
  • 嗜好品の分量をストイックに決めているとは思えない
  • なので「自制心の無い人は量がどんどん増えていく見込みが高い」と予測した

彼は甘い飲み物じゃなければ、
何を飲んでも面白くなくなるし、
シーソーの原理+健康被害で大変なことになる。

他人のことなら特別賢い人じゃなくても、
誰でも簡単に予想できてしまう。

ではどうすればいいのか?

ここからが面白いところだ。

私も普通のRPGなんて、まったくプレイしなくなってしまった。

苦痛の側に力をかける

冷水シャワーという行為がある。

風呂の最後に、
冷水シャワーを1分ぐらい浴びる。

私も長年しているけれど、
あれは冷たいと感じる温度じゃないと意味がない。

そして冷たいほど効果が高い。

先程のシーソーの話を思い出せば、
簡単に理解できるはずだ。

苦痛側に傾ければ、
その後は何もしなくても快楽側に傾く。

冷水シャワーに健康被害効果があるかは怪しいものだけど、
とりあえず浴びた後は気持ちが良いのである。

苦痛も依存症になる可能性があるそうだけど、快楽に比べればなる可能性は低いだろう。

終わりに

  • 快楽を追求すれば、苦痛に導かれる
  • 苦痛を取り去ろうとすれば、快楽も失われる
  • 苦痛側にシーソーを押すと、快楽側に傾く

あらゆる子供が大昔から言われていることの1つに

  • 宿題(仕事)をしてから遊べ

という言葉がある。

ピークエンドの法則といって、
人間は絶頂時と終わった時の印象しか残らないそうだ。

  • 美味しいものは夜に食べたほうが良い

みたいな話である。

快楽と苦痛にスノーボールがないのであれば、
快楽を1日の序盤に持ってくるのは、
少し考えただけではメリットが思いつかない。

経験や体感からも、
良いことはないと感じられる。

やはり人間は
辛そうなこと、
めんどくさそうなことをやるのがいいわけだ。

ドーパミン中毒(新潮新書) Kindle版

-書評
-