【パッチ15.10】リーグ・オブ・レジェンド「開放の魔導書」深掘り:歴史に見るユニークな戦略的価値【パッチ15.10で大幅にバフされた】
パッチ15.10に執筆した記事は上だ。
開放の魔導書への質問が、
同じ日に2つ来たので書く。


二つのコメントを要約すると
以下のようになるだろう。
- 時間帯ごとに、どのスペルに切り替えたらいいのか?
- なんで魔導書のスケーリングが良いのか?
- 高レートほどミッドガリオで開放の魔導書にするのはどうして?
これらはなかなか難しい内容ではあるが、
プラチナ4以上のプレイヤーが理解できるよう記述してみよう。
この記事はパッチ12.16の時に執筆されました。
パッチ15.10で書式をリライト。
解放の魔導書が難しい理由
キーストーンとサモナースペルを、
全て把握している必要があるからだ。
じゃないと、比較できない。
ところで、なぜサモナーズリフトでは皆フラッシュを入れるのだろうか?
これにすぐに答えられないプレイヤーは、
今回の記事を理解できないため、
少し説明を加える。
ARAMのフラッシュは弱い
ARAMでフラッシュが弱いとされる理由は
以下の点が挙げられる。
- ジャングラーがいないこと
- 壁抜けフラッシュによる戦略的な動きが限定されること
- 敵一人を捕まえてもバロンのような大型オブジェクトに直結しないこと
- レーンが一つしかないこと
- 敵の高体力ビルドによって、フラッシュコンボが無効化されうること
サモナーズリフトでは、
序盤に敵のマスター・イーに1キル取られると試合が不利になり、
逆に味方のマスター・イーが1キル取ると有利になる。
フラッシュはこのような攻防において、
最強のサモナースペルとなる。
ARAMでは一部のチャンピオンを除けば、最初の5対5のアグロピンポンでしか使わない。
アグロピンポンは、5対5の最初のインベイド戦で役に立つ概念だ。
中盤以降の集団戦で言ってたら、「コイツちょっと……」となる。
サモナーズリフトでは、
壁抜けフラッシュが戦略上非常に重要である。
これができないプレイヤーは
プラクティスで練習すべきだ。
サモナーズリフトでは、
中盤に相手のキャリーを一人キャッチするだけで、
そのまま試合に勝利する状況が生まれることがある。
ARAMにはバロンもドラゴンもなく、
レーンも一つしかないため、
たとえ4対5の状況になっても待つことで立て直しが可能だ。
大半の状況においては、
ただ待てばいいだけである。
特定のビルド(例:不死者の握撃、超成長、体力系アイテム)によってHPが4000以上になると、
メイジのフラッシュコンボでは容易に倒れなくなる。
サモナーズリフトであれば、
アニーがフラッシュインからキルを取り、
そのままバロンに繋げて勝利する、
といった展開が考えられる。
というわけで、サモナーズリフトのフラッシュは、ほぼ必須である。
ARAMの視点から考えると、
サモナーズリフトでのフラッシュの重要性が分かりやすいだろう。
スノーボールやオブジェクトの獲得といった点から、
フラッシュを入れるのである。
したがって、
サモナーズリフトではほとんどのチャンピオンで
フラッシュを選択した方が良い。
というわけで、
ミッドレーナーは「フラッシュ+何か」
という組み合わせにするのが基本だ。
ミッドの大前提「ミッドがフラッシュ+テレポートで勝てるわけがない」
ミッドレーナーがフラッシュと共に選択する一般的なサモナースペルには
以下のパターンがある。
- フラッシュ+イグナイト
- フラッシュ+ゴースト
- フラッシュ+イグゾースト
スノーボール(ミッドの基本)を目指す場合。
イグナイトがないと、
ガンクが来た際に敵を倒しにくく、
ジャングラーが絡んだ戦闘で勝利しにくい。
スケーリング(マスター・イーのような)を目指す場合。
序盤はゴーストで逃げたり追ったり、
レーンに復帰したりする。
中盤以降は相手マークスマンを倒したり、
ファイターをカイトしたりするために使用する。
ディフェンシブな選択肢として、
アニーやゼドのような敵のオールインから身を守るために選択する。
テレポート、バリア、ヒールも、
状況によっては同様の目的で使用される。
最初に1キル取れればベストビルド
最初の1対1、あるいは2対2の「決闘」で勝利することが重要だ。
ここで勝てれば、その後の展開は大きく有利になる。
単純にイグナイトは序盤のキルを取りやすいため、
「フラッシュ+イグナイト」が選択されることが多い。
最後の集団戦で勝つ必要がある
これはダイヤモンド未満の試合で特に顕著な傾向である。
フラッシュ+テレポートの組み合わせでも集団戦で不自由しないミッドチャンピオンは、
カサディンやアーティラリータイプに限られる。
ライズやブラッドミアはゴーストがないと、困ることが多い。
解放の魔導書の初期スペルのパターン
解放の魔導書を選択した場合、
初期サモナースペルにはいくつかのパターンがある。
- フラッシュ+テレポート
- フラッシュ+スマイト(昔はレーナーも選択できた)
- フラッシュ+イグナイト
1 テレポートが欲しい場合に魔導書を入れる選択だ。
自分がアーティラリータイプでなく(対面より射程が短い)、
カサディンでもない場合は、
テレポート+魔導書と覚えておくと分かりやすい。
2 特定のチャンピオン(例:ハイマーディンガー)によってタワーを早期に破壊されるのを防ぐために、
スマイトを選択する場合だ。
チーム戦や、ハイマーディンガーが苦手なプレイヤーが採用することがある。
※ 昔はペットにもスマイトのダメージがそのまま入った。
しかしヨリック相手に持つのは、最後まで一般的ではなかった。
3 フラッシュ+イグナイトなどの組み合わせで、
より攻撃的にプレイする戦法も悪くない。
(2は分かりやすく、3はテクニカルすぎるため、この記事では1のパターンを主に説明する)
時間帯ごとに、どのスペルに切り替えたらいいのか?
基本的な切り替えパターンは以下の通りだ。
- フラッシュ+テレポートでスタート
- 交換可能になった瞬間に交換すること
- 最初はイグナイトに切り替える
- 中盤以降の集団戦ではゴースト or イグゾーストに切り替える
ただし、魔導書を使いこなすプレイヤー層は上位1%未満であるため、
「基本」という表現は適切でないかもしれない。
最初はテレポートからイグナイトに変える
テレポートを持っている時はダメージトレードを行い、
リコール後にテレポートで素早くレーンに戻る。
そしてイグナイトに交換し、
ジャングラーが来たタイミングで連携して戦闘を仕掛け、
勝利を目指す。
サモナースペルのイメージはこのようなものだ。
開放の魔導書の基本でもある。
直感的には「イグナイト時に積極的に攻める」と感じがちだが、
LoLではイグナイトは味方のガンクに合わせた方が強い場合が多い。
魔導書を使用している場合は、
この戦術が容易になる。
- テレポートでダメージトレードをする
- プッシュする
- テレポートで復帰する
- イグナイトに変える
- ジャングラーと連携した戦闘で勝利する
これが理想的な流れである。
ただし、実際は苦手な相手だからこそ魔導書を選択している場合が多いため、
常にうまくいくわけではない。
プッシュは難しいかもしれないが、プッシュされると相手が普通にリコールしてしまうので、有利が消える。
中盤以降の集団戦はゴーストにする
ミニクイズを出す。
次のうち、どちらが集団戦で強いだろうか?
- フラッシュ+テレポートのブラッドミア
- フラッシュ+ゴーストのブラッドミア
この問題が分からないのは、
League of Legendsをプレイしたことがないプレイヤーだけだろう。
その場にいる集団戦において、
ゴーストを持っている方が明らかに強力だ。
なぜ魔導書のスケーリングが良いのか?
もう知っているプレイヤーも多いだろうが、
それは集団戦でゴーストを持つことができるからだ。
ゴースト以外にも、
中盤以降はヒール、イグゾースト、クレンズといったサモナースペルが、
イグナイトよりも集団戦で有効なケースが多い。
高レートほどミッドガリオで開放の魔導書にするのはどうしてか?
「グランドマスターとチャレンジャーは同じレートじゃないですか?
マッチングは同じですよ。
それにビルドガイドって、初心者向けに書きますよね。
だって上手な人は読む必要がないから」
みたいに書くと、
確実に腹立たしい上に気持ち悪いと思われるので、
心に留めておきます。
それではガリオの視点から
説明を始める。
今回の魔導書の記事は、上位10%程度の実力を持つプレイヤー向けであり、初心者のプレイヤーには理解が難しい内容である。
低レートでエバーフロストを入れるとゲームに勝てない
ガリオのミシックアイテムとしてはエバーフロスト、
ヘクステックロケットベルト、
ナイトハーベスターなどが選択される。
しかし、ダイヤモンド未満の試合ではエバーフロストは有効に機能しない場合が多い。
これは、プレイヤーが試合に勝つ気がないか、
あるいはゲームのルールを十分に理解していないかのどちらかだろう。
低レート帯では、
- 自分でダメージを出さなければ試合に勝てない
という理論がある。
解放の魔導書は、
この理論と関連して考えることができる。
アフターショックと開放の魔導書
またミニクイズを出す。
次のうち、戦闘で一番弱いビルドはどれだろうか?
- イグナイト+アフターショック
- テレポート+アフターショック
- テレポート以外のサモナースペル+解放の魔導書(キーストーン無し)
答えは2、テレポート+アフターショックである。
したがって、この組み合わせは避けるべきだ。
勝てる見込みがあるかどうか
ガリオの初期設定(レーンに出る時のサモナースペルとキーストーンの組み合わせ)を考えると、
- イグナイト+アフターショック:大活躍を目指す
- テレポート+解放の魔導書:サポーティブな選択肢
- テレポート+アフターショック:10人の中で下から数えたほうが速いMOB
(上は例えであり、最終的にはマッチアップによるため、自分で記録を取り、検討することが重要だ)
解放の魔導書はダイヤ以上の相手に説明するのも大変
解放の魔導書を理解するためには、
- イLeague of Legendsの基本ルール
- サモナーズリフトの基本ルール
- ミッドレーンの基本ルール
- サモナースペルの基本ルール
- 低レート帯では自分でダメージを出す必要があるという理論
など、様々な要素をある程度理解している必要がある。
解放の魔導書は、
ビルドガイド(初心者向け)とマッチアップ(上級者向け)の
中間くらいのレベル感で提示される選択肢と言えるだろう。
あるいはマッチアップよりも上だろうか。
終わりに
- 解放の魔導書を効果的に使うためには、全てのキーストーンとサモナースペルを把握し、状況に応じて比較判断できる知識が必要です。
- サモナーズリフトでは、オブジェクト獲得やスノーボールの機会に直結するため、フラッシュはほぼ必須のサモナースペルとされています。
- ミッドレーナーは、フラッシュに加えて、序盤のキルを狙うイグナイト、バックラインに突っ込んだりカイトに使うゴースト、あるいは防御的なイグゾーストなどを相手や状況に合わせて選択するのが一般的です。
- 解放の魔導書を選択した場合、初期のサモナースペルはフラッシュとテレポートの組み合わせがよく使われます。
- 解放の魔導書を使う際の基本的な切り替えパターンとして、最初はテレポートからイグナイトに交換し、味方ジャングラーとの連携で有利な状況を作り出す戦術があります。
- ゲームの中盤以降の集団戦に向けては、解放の魔導書を使ってゴーストやイグゾーストといった集団戦で強力なサモナースペルに切り替えることが推奨されます。
- 解放の魔導書のスケーリングが良いとされる理由は、中盤以降の重要な集団戦でゴーストなどの強力なサモナースペルを使用できるようになるためです。
- マスター未満のレート帯では、試合に勝利するためには自分がダメージを出す必要があるという考え方が一般的です。
- サモナースペルがテレポートでキーストーンがアフターショックという組み合わせは、レーンでの戦闘において最も弱いビルドの一つとされています。
- 高レート帯のミッドガリオが解放の魔導書を選択するのは、テレポートによる序盤のレーン管理とマップへの影響力を持ちつつ、中盤以降はゴーストなど集団戦でより効果的なサモナースペルに柔軟に切り替えられるメリットがあるためです。
【パッチ15.10】リーグ・オブ・レジェンド「開放の魔導書」深掘り:歴史に見るユニークな戦略的価値【パッチ15.10で大幅にバフされた】
パッチ15.10の記事も貼っておく。