あなたが歌が得意かどうか知らないが、私は歌を歌えない。
喉がやられているわけではなく、単純に歌に関することが何もわからないので、ヘタクソすぎるという意味だ。
なので私にとって歌が上手とは、印象の話になってしまう。
どこが上手なのかわからないし、具体的に語れないからだ。
いっぽう我々はLOLプレイヤーなので、LOLが上手とはどういった状態を言うのか、具体的に語れるはずではないだろうか?
LOLに限らず、上達するために(上手になるために)練習するのだから、上手な状態を知っておいたほうが有利に決まっている。
格闘ゲームとDota2が上手ってどういうことか知ってる?
LOLがシャドウバースだとすると、Dota2はMTGで、とりあえずDota2のほうが格が上のような気がしないだろうか?
実際にLOLよりDota2のほうが難しいのだけど、DotaはLOLより格闘ゲームに近い。
実は格闘ゲームは、全く頭を使わないゲームだ。
格闘ゲームはひたすらプレイ時間の多いほうが勝つ
Dota2は自軍のミニオンのラストヒットも取れるのである。
※ あなたが自軍ミニオンのラストヒットを取った場合、お金は入らないが、相手は当然ゴールドは獲得できないし、貰える経験値が少し減る。
するとどうなるか? もうゲームの知識が全く関係なく、ラストヒットが上手なほうがゲームに勝つのである。
格闘ゲームも一緒で、格闘ゲームは操作精度が高いほうがゲームに勝つ。
格闘ゲームの難しいコンボのような技能を、認知心理学では手続き記憶という。
ひたすら反復すれば覚えられる記憶のことだ。
裏を返せば、何度も反復しないと覚えられない、覚えるのが難しい記憶とも言える。とにかくコレらのゲームの上手さは、そのままプレイ時間に比例する。
LOLはプレイ時間に比例して上手にならない
1万時間の法則とは良く聞くが、アレは嘘だ。
アンダース・エリクソンが提唱したことになっているが、エリクソン本人が、「アレは俺の本を引用したジャーナリストが大げさに書いただけで、そんなことないよ」と言っているので、覚えておいたほうがいい。
ジャンルによって身につけるまでの時間は違う。
プロのピアニストになるには1万時間では話にならないし、ゴッドフィールドなら1時間もプレイすれば上級者だ。
単純な反復練習の繰り返しでは上達しない
あなたはLOLでソロキューを入れて、上手になると思うだろうか?
もちろん何もしないよりは上手になるはずだが、練習の質としては最低で、ほとんど上達に寄与しない。
なぜならLOLはラストヒットを相手と取り合わないので、自分が一定のレベルであれば問題ないからだ。
ダークシールスタートのメイジ以外ならば、ダイヤ3もあれば好きなだけラストヒットが取れる。
一週間に一回しか起動しなくとも、ADCでラストヒットを取るだけならば、全く問題ない。
※ 忘却曲線的に言うと、半年から1年は忘れないはず。
LOLで反復練習はほとんど必要ない。
ドレイヴンで斧を拾うとか、オレリオン・ソルを使うとか、ガングプランクでコンボを決めるとかを除くと、反復練習が効果を発揮するテクニックが、ほとんど存在しない。
いっぱい反復練習しただけのプレイヤーを上手と呼んで良いのだろうか?
格闘ゲームは本当にコンボや起き攻めが上手なだけで勝てる。何故ならほとんどのプレイヤーは正確に入力を打ち込むことができないからだ。
毎日何時間もゲーム起動しているオタク同士であっても、単純に入力が正確(操作が上手)なほうが勝つ。
※ きちんと状況に応じて正確に入力するのは、本当に難しい。
私が当時思ったのは
「格闘ゲームの奥が深かったとしても、プレイヤーは浅くない?」
自分自身を見て、人間的な成長が、あまりになかった。
人間的に成長したいから格闘ゲームしていたわけではないが、MMOで数時間狩りしてるのと同じレベルだと思ったら、流石に傷付いてしまったのである。
手続き記憶的な話は一旦やめて、次は言葉で表現できる記憶の話をしよう。
意味記憶は大事
言葉で表現できる記憶=陳述記憶
陳述記憶には
- エピソード記憶(イベントの記憶)
- 意味記憶(言葉の意味についての記憶)
の2つがある。
ドレイヴンの斧を拾う動作や、自転車に乗る動作、格闘ゲームのコンボを出す時の感覚は言葉で表現できない。
LOLに限らず、この人は上手になるなとか、いつまで立っても下手なままだろうなと、予測できる指標を知っているだろうか?
それはその分野について、たくさん言葉を知っているかどうかである。意味記憶は大事というわけだ。
プレイヤーの伸びを予測する事前情報
昔LOLの初心者配信を見ていて、スプリットプッシュとバックドアを同じ意味だと考えていたのを見た。
コレはかなりまずい。私はその時
「コイツLOLのルールだけでなく、スプリットという単語すら知らないんだな。英語わからないのは当たり前だけど、ボーリング一回もやったことない人は珍しいかもしれない」
格闘ゲーマーと同じで、単純に言葉の意味を知らないわけだ。
腹式呼吸を知らないという私の発言を見て、あなたが
「コイツ絶対カラオケ嫌いだろ」
と思ったのと似ているかもしれない。
検索すれば一発でわかる言葉の意味を知らないのは
- 単純に興味が薄い
- 言葉の意味を知らないと考えを扱うことができない
- 苦手意識があるかもしれない
とりあえず、あなたが何か上達しようとするのであれば、専門用語をたくさん覚えようとするのは正しい行動となる。
本格的に学ぶのではなく、表面的な言葉の意味を知っているだけでいい。
例えばLOLでメイジというと、APチャンピオンのことを言うし、デマーシアで迫害されている人達のことを指したり、ラックスやサイラスなどを意味する。
だが基本的に「APチャンピオンのことなんだな」くらいの意味でいい。オタク知識は無理に学ぶ必要はない。
余計なことを努力して記憶しようとしないこと
上の記事には
「意識的に記憶するならば、長く役に立つことを記憶したほうがいいよね」
といったことが書かれてある。
たくさん言葉を知っているほど、実力は伸びるのだけど、余計なことまで記憶しようとしないこと。
勤勉で熱心な人ほど陥りがちだ。
LOLのビルドも記憶しないように
LOLのビルドは
- 統計サイトにあったものを固定的に覚えている人
- 論理的に自然なアイテムを購入する人
- みんなが買ってるから自分も真似しなければならないと考える人
2が理想で、1はダメだ。
何故なら1の場合
「見ながらやればいいじゃん? 覚える必要なくない?」
となるからだ。
3は人間ならば仕方がないどころか自然かもしれないが、LOLプレイヤー的には全く話にならない。
終わりに
カードゲームプレイヤーは、ほとんど全ての人がLOLでいうダイヤ以上の実力がある。
カード=意味と言えるので、カードゲームは、意味を並べて整理して遊ぶゲームと言えるだろう。
そんな学者みたいなこと(KJ法と似てる。KJとは、文化人類学者の川喜田二郎のこと)してるんだから、下手なままであるはずがない。
デジタルカードゲームの世界では、下手な人も多いらしいので、やはり実際にカードを手にとって並べ替える作業こそが、プレイヤーをダイヤにしている。
余計なカード、つまり余計な知識はデッキから抜くし。
やはり我々も、知識をカードにして並べてみるべきだろうか?
色々書いたが、今回の記事の結論は、
- 入力が正確であること
- たくさん言葉を知っていること
が上手なプレイヤーの条件となる。
実質がないこと、それでいてパワフルなこと、自分が乗ってくる風と同じだ。
As insubstantial, and as powerful, as the wind that carries it.
大気の精霊/Air Elemental フレーバーテキストより引用
このセリフを思い出した。