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LoLが上達しない原因は「やる気」ではない|習慣が身につく3つのRを解説

この記事でわかること

  • 上昇スパイラルに必要なのは、派手な努力ではなく地味な行動だということ
  • 習慣が定着する「変化の3つのR」(Reminders・Repetition・Rituals)を、LoLに当てはめるとどうなるか
  • 儀式化は悪い習慣にも起きる。サレンダー癖がなぜ危ういのか

習慣や行動変容を扱う心理学の世界では、似たようなことがよく語られる。

人には上昇スパイラルと下降スパイラルがあり、現状維持はない。毎日0.1%良くなっていく人と、毎日0.1%悪くなっていく人。このどちらかしかないのだと。

「ティミー・パワーゲーマー」というゲーマータイプを知っているだろうか。MTGの話で、派手で豪快な勝ち方ばかりを好むプレイヤーのことだ。

例えば、女性にモテる方法を考えるとしよう。いきなり香水をつけるのが中学生で、コミュニケーション能力を磨こうと思うのが高校生だ。

では、ティミー・パワーゲーマーはどうするか。いきなり藤井風のような人気者になろうとする。こういう勝ち方を好むのだ。

だが、上昇スパイラルに派手な施策や激しい努力は要らない。必要なのは、もっと地味なものである。

下降スパイラルは、ベルトコンベアーに似ている。

「今日は忙しかった。明日も忙しいけど、寝る前に1試合だけLoLするかな」

そうして翌日、彼は1分間に180回「眠い」と心の中でつぶやき、それを一日中繰り返すという、最悪の日を過ごすことになる。

では、どうすればこのベルトコンベアーから降りられるのか。

その手がかりとして広く紹介されているのが、ポジティブ心理学者タル・ベン・シャハー(Tal Ben-Shahar, PhD)の「変化の3つのR」だ。

  1. Reminders(リマインダー)
  2. Repetition(反復)
  3. Rituals(儀式化)

ただし、これは単独の厳密な学術理論名というより、彼が持続的な行動変容を説明するために整理・普及したフレームワークである。本人の説明では、リマインダー→反復→儀式化(自動化)の順で変化が定着するとされている。

その前に、ひとつ理解しておくことがある。物事には、やる気があるからやる場合と、やるからやる気が出る場合がある。執筆は後者だ。取りかかるまでが大変で、取りかかってしまえば楽しいまである。恐ろしいことに、LoLは両方だ。

上昇スパイラルに入るには、まず「やる気は後からついてくる」ことを受け入れなければならない。

※ 下降スパイラルは反対に、ついやってしまうことばかりだ。

3つのRは、そのための仕組みである。

この記事はパッチ26.21の時に執筆した。

① Reminders(リマインダー)

思い出させる仕組みだ。LoLでいえばタイマー(◯◯:◯◯のアレ)だろう。

  • スカトル
  • ドラゴン
  • ハニーフルーツ
  • ヴォイドグラブ
  • 対面のRのCD
  • 対面のフラッシュのCD

スカトルとドラゴンの湧き時間を知らない人は、LoLができない。プラチナ4すらないと断言できる。

ハニーフルーツ以降になると、結構怪しいのではないかと思う。

習慣というのは、まずここから始まるのだそうだ。

  • ◯◯時になったら◯◯をする
  • アラームなどリマインダーを用意する

LoLの場合、後者のリマインダーは必要ない。時間を気にして動くのが普通だからだ。ところが、前者の「◯◯時になったら◯◯をする」の中身を身につけるのが、やたら難しい。

例えばフルクリアだ。ヴィエゴやダイアナなら初心者でも簡単で、マスター100LPもあれば、3回練習すれば1スマイトスカトルに間に合うはずだ。

一方でベル=ヴェスは難しい。物凄く難しいわけではないが、1スマイトスカトルが重要なチャンピオンなので、それができるようになるまで体感で5時間はかかる。

※ ベル=ヴェスは序盤が弱すぎて、他チャンピオンと違って2スマイトスカトルだと機能しない。

レーナーのキーストーンや序盤のビルドもリマインダーに近い。

② Repetition(反復)

繰り返しだ。フルクリア(2回目)、メイヘム、コンボ練習、リコール>買い物>素早いテレポート復帰などがこれにあたる。思い出した行動を、何度もなぞる。

※ あなたがソロレーナーなら、「リコール>買い物>素早いテレポート復帰」は本当に練習したほうがいい。

ここ半年ほど、真っ当な社会人感覚を持った人にLoLを教えている。

彼は目も当てられないほど下手だった。それでも、忙しいなか練習を重ねて、もうすぐマスターというところまで来た。

エメラルド帯だった時の彼に教えたのはメイヘムだ。サモナーズリフトだけやっている人は、普通、集団戦がヘタクソである。集団戦をする時間が少なく、脳みそが集団戦用になっていないからだ。

③ Rituals(儀式化)

反復が自動化し、考えなくてもやるようになった状態だ。これが最も大変である。

そして、儀式化は良い習慣だけに起きるわけではない。

その悪い例が、ソロキューでよく見る、何か失敗した瞬間にサレンダーを押す行為だ。あれはやめたほうがいい。理由は、カスタムなど友人同士でやると、そのグループでの序列が最下位になるからだ。本当にそれだけだ。

ゲーム内容自体には大した差はない。しかし、そんなことをする人間は群れのリーダーとは認められない。ある程度の腕前の人がやった場合は、「めちゃくちゃ知能が低いんだな、コイツ」と思われる。だから普段からやるなという話なのである。

普段の癖は、カスタムでも出る。儀式化とはそういうものだ。

男性しかいないにもかかわらず、なろう小説の貴族を思わせる悪役令嬢バトルを繰り広げることになる。

普通の人ならエメラルド以上、ゲームが上手なタイプならマスター、グランドマスター、チャレンジャーになってから、LoLを儀式化していくレベルになると思われる。

悪い儀式は、嫌悪で止める

悪い儀式を止めるのは、理屈よりも「これだけは自分でやりたくない」という嫌悪感だ(ハビトゥスというヤツだ)。ただ、その感覚は自分ひとりではなかなか育たない。育つきっかけになるのが、周囲の反応である。

先ほどのサレンダーの話で考えてみよう。友人が失敗した直後に反射的にサレンダーを押したとき、私の反応は相手のレベルで変わる。

要は、初心者に近いほど、無礼でも許されるわけだ。姉、妹、母親、女性の友人に、身だしなみを注意される。それと同じレベルだと思ってほしい。

裏を返せば、反応が優しいうちは、悪い儀式に気づく機会も少ないということだ。誰も指摘しないまま、癖だけが自動化していく。

なろう小説の貴族が農民の礼儀作法をなんとも思わないように、他人にそこまで強い嫌悪感を向ける人は少ない。

だからこそ、何を反復するかは、周囲に任せず自分で選ぶ必要がある。

終わりに

地味なことを、3つだけ

儀式化は、狙って作るものではない。リマインダーで思い出し、反復でなぞっていれば、気づいたときには勝手に起きている。良い習慣も悪い習慣も、仕組みは同じだ。だから私たちにできるのは、何を反復するかを選ぶことだけなのかもしれない。

上昇スパイラルに、派手なことは要らない。必要なのは次のような地味なことだ。

  • 試合開始前に統計サイトを軽く見る
  • LoLのリザルト画面を少しでいいから見る
  • 新しいジャングラーを使う時は、必ずフルクリアを練習してから使う

どれも習慣化してしまえば、意識せずに当たり前にできる。ところが、この積み重ねが毎日0.1%の正体である。

現状維持はない。

ベルトコンベアーから無理に飛び降りる必要(つまりLoLを辞めて、有意義なことをする行為)もなく、逆向きに動くほうへ乗り換えればいい。やる気は後からついてくるのだから。

戦術の、その先へ

「LoLが上手くならないのは、操作技術以前に、このゲームへの“向き合い方”の問題ではないか?」一度でもそう疑ったことがあるなら。

その“向き合い方”を、社会学・心理学・行動経済学で解きほぐすのがこのニュースレター。週1の長文を、北川楓が書いている。

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