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アンチの悪口が頭から離れない人へ|1年返事をしなかった私と、自力で解決した相談者の話

発信を始めると、
ある日突然アンチが現れる。

今回は、あるマスタープレイヤーから届いた
「アンチの言葉が頭から離れない」
という相談と、

その約1年後に届いた
「もう自力で解決しました」
という返事について書く。

そう。
私は1年近く返事をしていなかった。

TwitterのDMが暗号化され、パスコードの設定がどうこうという仕様変更があったのだが、
このアカウントでは設定をしていなかった。
そのせいで、相談が届いていること自体に気づけなかったのだ。

  • 悪口ばかり気になるのは、脳が正常に働いている証拠
  • 悪口が効くのは、居場所がひとつしかないから
  • 捨て垢の罵倒は、評判を持たない人の「削り」でしかない
  • 1年かけて相談者が自力でやったこと

アンチが気になって仕方ないという相談が届いた

相談の要約

相談者は、低ランクから這い上がってマスターに到達し、
LoLの発信を始めた人だ。

腕前は、そろそろグランドマスターに届くというところである。

名前が売れてきたころから、
捨て垢で強く批判されるようになりました。

  • 批判されるのは名前が売れた証拠
  • 活動する以上、避けられない
  • 捨て垢で殴ってくる相手は格下

ここまで全部わかっている。
それなのに、褒め言葉より悪口のほうが目に入ってしまう。

これが相談の中身だった。

悪口ばかり覚えているのは脳が正常な証拠

先に結論を書く。
褒め言葉より悪口が目に入るのは、あなたが弱いからではない。

心理学ではネガティビティ・バイアスと呼ばれる。
人間の脳は、良い情報より悪い情報を強く、長く処理するようにできている。

草むらの揺れを「ただの風」と流す個体より、
「敵かもしれない」と身構える個体のほうが生き残った。
ワードの切れた茂みを警戒するのと同じだ。

だから褒め言葉100件より、悪口1件が記憶に残る。

耳にタコの話ではあるが、前提として一応書いておく。

頭ではわかっているのに気にしてしまう理由

相談者は、友人が同じ目に遭っていたら

「そんな卑怯な奴らなんか相手しなくていいよ。自分を応援してくれる人のために頑張ろう」

と言えるそうだ。

ところが、自分のことになると同じ言葉をかけられない。
相談文を読むと、頭の中ではこういう流れが起きている。

1で受けたダメージはアンチによるものだが、
4のダメージは完全に自分で出している。

同じ嫌な考えを何度も頭の中で繰り返すことを反芻(はんすう)と呼ぶ。
心身への負担が大きく、気分の落ち込みを長引かせる原因になるとされている。

LoLで言えば、1デスしたあとにチャットで味方と揉めて、さらに3デスするようなものだ。
最初の1デスより、そのあとの自滅のほうがよほど痛い。

そして誰もが知っている通り、達人でもなければ、LoLは敵に出し抜かれるより自滅するほうが多い。
人生も同じだ。

私はインターネットで悪口を言われて気にしたことが一度もない

一度どころか、一瞬もない。

メンタルが特別強いわけでも、EQが高いわけでもない。むしろ低いほうだ。

私の兄は自殺している。
家族は、兄本人も含めて全員、
「自殺するなら兄ではなく私のほうだ」と思っていたくらいだ。

兄弟が自殺すると、両親が生きているうちに自分が自殺するのは「不可能」と言っていい。

そんな人間が、なぜ悪口を気にせずにいられるのか。
仕組みは簡単で、守るべきメンツがないからである。

居場所がひとつだと、悪口は全人格への攻撃になる

LoLのコミュニティが人生の居場所のすべてだったら、
そこで言われた悪口は「自分という人間の否定」に聞こえる。

逃げ場がないからだ。

私の場合、LoL以外にも人間関係がたくさんある。
LoLの世界での評価は、私という人間のごく一部でしかない。

ついでに言えば、LoLには良く思われたい女性がいないので、そもそも気にしようがない気がする。

もしそんな女性がいたら、舐めた口を利いたヤツ全員にオフ会を申し込んでいたことだろう。

緩いつながりをたくさん持つ

社会学には「弱い紐帯の強さ」という言葉がある。
社会学者グラノヴェッターの研究で、
濃い身内より、ゆるく知っている程度の人のほうが新しい情報や機会を運んでくる、という話だ。

たとえばTwitterの相互フォロワー。
一度もやり取りしたことがなくても、
1年くらい経つと妙に親近感が湧いてくる、アレだ。

緩いつながりが複数の場所にあれば、
ひとつの場所で嫌われても、残りの場所の自分は無傷でいられる。

常に取り組む課題がある

課題と言えば聞こえはいいが、
生産的という言葉からは程遠い。
ただゲームの続きがしたいだけだ。

昔のMMOのクエストのように、
目の前にやりたいタスクが山積みになっている。

次にやることが決まっている人間は、
捨て垢の悪口を反芻している暇がない。

友人の条件は裏切らないこと

狩猟採集の時代から、
人間が世の中をサバイバルするには、裏切らない仲間が必要だったとされる。

友人に対して不義理をしない。

これはとても大事だ。

大昔のインターネットは匿名が主流だった

「電車男」という物語を知っているだろうか?

大昔は、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)のような匿名掲示板で、
名前も知らない人同士が真剣にやり取りをしていた。

真面目に書き、真面目に聞く。

名前がないからこそ、
「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」だけで判断されていた。

しかしTwitterなどのSNSが広まったあたりから、
匿名は主流ではなくなった。

アカウント名、アイコン、フォロワー数。
発言には「誰が言ったか」がセットでついて回るようになった。

ドメインがないと繋がりが切れやすい

大昔は、インターネット上の「住所」のようなものを個人が持っていなかった。

そのため、たとえばやるゲームが変わった瞬間に、そこでの繋がりも切れてしまっていた。

人間的な寂しさを抜きにしても、これはかなり不利だし、はっきり言ってバカバカしい。

何年も積み上げた知識や信頼が、
ゲームを移った瞬間にゼロに戻る。

みんなリセットされるなら良いのだが、
リセットされない人もいるのであれば、
インターネット上の住所はあったほうがいい。

今は違う。
ブログのドメインやSNSのアカウントという「住所」があれば、
やるゲームが変わっても、読んでくれる人は同じ場所に来てくれる。

名前を出して発信するというのは、
この住所に評判を貯めていく行為だ。

評判格差

橘玲の『無理ゲー社会』には、「評判格差」という言葉が出てくる。

お金による経済格差は再分配できるが、評判は分けられない、という話だ。

これをアンチの話に当てはめると、見え方が変わる。

評判は分けてもらえない。
だから評判を持たない人にできることは、
評判を持っている人を削ることくらいしかない。

名前が売れたころにアンチが湧いたのは偶然ではない。
相談者に分けられない資産ができたからだ。

ゼロサムヒューリスティックというヤツで、
誰かが得をすると自分が損をしたように感じてしまう。

評判は分けられないのであれば、
匿名になって人気者の評判を下げようとするのは、
計画的なら頭悪すぎるが、
衝動的なら、そこまでおかしな行為ではないと思える。

匿名アカウントの話なんて誰も聞かない

今のインターネットで、
名前のないアカウントの言葉を真剣に聞く人はほとんどいない。

電車男の時代とは逆だ。
今は「誰が言ったか」がない発言は、最初から軽く扱われる。

だから捨て垢の罵倒は、

「サモナーズリフトで飛んでくる味方の文句と同じで、聞くに値しない」

と私は考えている。
ミュートボタンを押すのに、罪悪感はいらない。

そもそも私は人の話を聞かない

もっと言えば、私は匿名に限らず、人の話をあまり聞かない。

理由は2つある。

難しい話は、文章で読まないと頭に入らない。
そして男同士の会話なら、

「私はあなたの話を真剣に聴いていますよ」

というアピールもいらないので、気が楽である。

毎回新鮮

Discordで友人とチャットしていたときの話だ。

私と男性の友人が話していると、女性のメンバーが

「その話、この間もしてなかった?」

と言ってきた。
それに対する友人の返事がこうだ。

「俺たちは人の話あんまり聴いてないから、毎回新鮮だよ」

聞き流していた話ほど、身体に残る

『小野田少尉 遅すぎた帰還』というドラマに、いいシーンがある。

ジャングルで共に戦った仲間の1人が、酒を飲むたびにしつこく故郷の話をする。
駅から自分の家までの道順まで、毎回同じように語る。

エンディングで、小野田はその亡くなった仲間の家へタクシーで向かう。
途中で運転手が道に迷ったとき、
小野田が迷わず道案内をするのだ。

周りが驚いて
「来たことがあるんですか?」
と聞くと、

小野田は微笑みながら
「いいえ」
と答える。

真剣に聴いていたわけではない。
「またその話か」とウンザリ聞き流していた。
それでも暗記していた。

1年後に届いた「もう自力で解決しました」

ここまで偉そうに書いてきたが、
冒頭のとおり、私はこの相談に1年近く返事をしていなかった。

ようやく連絡したとき、相談者から返ってきたのは
「もう自力で解決しました」という一言だった。

相談者が1年でやったこと

読んでみて、正直ほとんど付け足すことがなかった。

とくに最後の2つは、この記事で書いてきたことそのものだ。
問いかけ役を置くのは、「自分を責める自分」に割り込む仕組みになっている。
読書やマルクス・アウレリウスは、LoLの外にもうひとつの居場所を作る行為だ。

ちなみに私がハッタリの効く古典をたくさん知っているのは、人狼ゲームでそういう話が好きな女性がいたからである。

私から彼へのアドバイス

せっかくなので2つだけ書いておく。

普通の人間は悪役令嬢バトルが得意

ここで言う悪役令嬢バトルとは、
評判を落とす噂を流す、仲間外れを作る、味方を集めて相手を孤立させる、
といった人間関係の中での戦いのことだ。

匿名でしか発言できない人は、人間関係の主流からあぶれてしまった人なので、
この悪役令嬢バトルもヘタクソだ。
だから恐れる必要はない。

ただし、そのへんにいる普通の人間は、これがかなり上手い。
LoLではアイアンでも、人間関係ではチャレンジャー級ということがよくある。

本当に警戒すべきは捨て垢ではなく、名前と顔を持った普通の人たちだ。
ここは気を付けたい。

友人は大切にしよう

友情には、
自分たちの集団が他の集団より優れているように演出する、という役割もある。

身も蓋もない言い方だが、発信の世界ではこれがそのまま力になる。
友人が紹介してくれる、友人が擁護してくれる、友人と一緒に何かを作る。
評判は分けられないが、評判のある人同士が互いを照らし合うことはできる。

そして前述の悪役令嬢バトルに巻き込まれたとき、最後に守ってくれるのも友人だ。

LoLで活動して、もっと有名になりたいのであれば、
友人は大切にしたほうがいい。

裏切らず、不義理をしないことだ。

まとめ

1年間返事をしなかった人間が言うことではないが、
相談してくれたことには感謝している。

次は、グランドマスター到達の報告を楽しみに待っている。
今度はDMの設定もちゃんとしておく🙇

ちなみに、匿名で他人に文句を言っている人に伝えたいことがある。

PoE、PoE2、トーチライトインフィニティをやってみてほしい。

ハクスラは毎シーズンリセットされるので終わらない。
人の悪口を書いている暇など、一瞬もなくなるはずだ。

戦術の、その先へ

「LoLが上手くならないのは、操作技術以前に、このゲームへの“向き合い方”の問題ではないか?」一度でもそう疑ったことがあるなら。

その“向き合い方”を、社会学・心理学・行動経済学で解きほぐすのがこのニュースレター。週1の長文を、北川楓が書いている。

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