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LoLは上手くなるのに、人生が上手くならない理由

随分と前の話になる。

チャレンジャーの友人がいた。

アニーを使う人で、
アニー以外は極端にダメなタイプだった。

※ 「パッとしない」ではなく、部屋のレベル関係なく試合が壊れる。

ある日のソロキューで、野良のカ=ジックスが、
その友人をサモナーネームではなく、
ペンネームで呼んだ。

私はその瞬間まで知らなかった

——友人が「小説家になろう」で書いていたことを。

サモナーネームとペンネームは、
どこにも繋がっていなかったはずだ。

なのに、見ず知らずのカ=ジックスは、それを知っていた。

そのカ=ジックスには、もっと奇妙な癖があった。

Eで跳んでいる、その最中に文字が届く。

ありえないタイミング、
真っ当な集団戦の最中にチャットするので、
今考えても「そう」としか思えない。

アニーとカ=ジックスは別人だ。

今になって思う

——あのカ=ジックスも、何か書いていたのではないか?

この記事はパッチ26.12の時に執筆されました。

上達には二段階しかない

上達を凄く大雑把に2段階に分けた場合

  • 手順を「パッと思い出せない」段階
  • 嫌悪を「磨く」段階

の2種類になる。

あいだはない。

前者は素人だ。

手順が、まだ手に入っていない。

何をすべきかを、その都度、思い出さなければならない。

そして思い出すのに使った分だけ、頭は他に回らない。

だから、チェックリストが最初は要る。

※ 私が最初にMOBAをした時、50試合してもドヘタクソだったので、その後手順をちゃんと書きました🤓自分で考えて(重要)

例えば私の執筆の場合だと

順番を紙に固定して、始める前に一度見る。

これが凄く重要で、
それさえ忘れなければ物事はなんとかなる。

何度も見るうちに、手順は紙から手へ移り、
やがて、見なくても動けるようになる。

LoLのファームと同じように、
呼吸に近いものになったら、
悪くないレベルだ。

素人は「こうやったらいい」を集めることが、
強くなることだと思っている。

手順を覚えるのは上達の基本であるし、
大事なことではあるが、
勝負に勝てるかどうかは別な話だ。

勝てるのは注意を空けられるようになってからである。

導入で言った、あのカ=ジックス。

手順の自動化は、
第二段階の扉を開けるだけだ。

扉の向こうで何が起きるか、
それが、この文章の本題だ。

第二段階:嫌悪

ブルデューの核心、
趣味は「好み」ではなく「嫌悪」から始まる。

好きより嫌いが大事ということだ。

手順を覚えたら、
次は「嫌悪を磨く」段階になる。

例えば執筆する人全般の場合は、

  • 紋切り型(クリシェ)への嫌悪

※ 紋切り型=決まりきった形式

がある。

時事ネタ、ネットミーム、
面白いと感じるものはあっても、

  • 「結局そういう話を振るのは、自分がつまらないヤツだとアピールしてるようなものだ」

こんな感じの気取りが必要なんだそうだ。

LoLの場合はキリがないというか、
私が大半のプレイヤーを嫌悪していることになるので、
詳しく書くのは辞めておこう。

嫌悪については色々と不思議に思うことがある。

我々は毎日人生をプレイしている、
言い方を具体的にすると、
1日を過ごしている。

毎日1日を過ごしているはずなのに、
嫌悪性どころか手順すら磨かれていない。

なぜLoLでは、嫌悪が磨けるのか

毎日プレイしているのに、磨かれない。

おかしな話だ。

1日は、どんなゲームより回数が多い。

一生で何万回もプレイする。なのに、嫌悪も手順も育たない。

理由は、嫌悪がどう作られるかにある。

嫌悪は、一人では生まれない。

ブルデューに戻れば、趣味は位置取りだ。

自分を群れの中で目立たせるみたいな、
そういうものだ。

位置取りは、
誰かの趣味への拒絶から始まる。

つまり嫌悪は、
いつも「他者に対して」磨かれるわけだ。

吐き気を催す相手が要る。

それも、一人ではなく、大量に。

LoLの良い点は、
どちらが正しかったかを告げる点だ。

その試合限りでもいいし、
長期的な視点でもいい。

ゲームゆえか明確な判定を付けやすく、
嫌悪を「正しい嫌悪」に変える。

LoLが嫌悪に与えるものは3つ

1日は、この三つを与えてくれない。

我々は1日を過ごす。

だが同じ1日を生きる一万人を、
横に並べて見ることはない。

比べる相手がいないし、1日は二度と来ない。

同じ条件のやり直しが、
原理的に効かない。

さらに、判定が来ない。

「今日を負けた」

と告げる画面は、どこにも出ないし、

「いつ負けたのか」

という判断基準もくだしにくい。

名のあるトップ・ミッドレーナーならば、
次のことを知っているはずだ。

  • キャノンを逃した時
  • ソロキルされた時
  • ダメージトレードを大きく損した時
  • ハニーフルーツの存在を忘れた時
  • 対面との戦い方を用意してなかった時
  • ソロキルした後にレーンを押すか押さないかの判断をミスった時

こういう時、
何故か相手のアシスト数を無視して、
チャットで04とか言って自尊心を回復させようとする、
IQ70未満のカスプレイヤーみたいな態度を取らず、

「流石です」

とキングダムに出てくる、
ちょっとカッコいい系のキャラのような
殊勝な態度でゲームを続ける。

負けに敏感になるのは大事だ。ただし手練に限る。

嫌悪も負けた瞬間も実感しにくい

  • 細かい失敗をチェックする行為がポジティブに感じる

のは、相当な手練になってからだが、
大半の人間は1日のほうがLoLよりプレイしているのだから、
相当な手練になってないとおかしくないだろうか?

1日を過ごすというのは、
格闘ゲームのCPU戦に近いのかもしれない。

格ゲーの基本はCPU戦だが、
対人したことない人がCPU戦だけしていた場合、
強くならない。

CPU戦がうまくなるだけだ。

比べる他者も、罰する判定も無いからだ。

比較と共同体を欠いた1日は、
ずっとCPUを相手にしているのと同じだし、
人間20も過ぎれば
他者との過剰な比較を避けるようになる。

だから、「1日」が上手くなりたければ、
相手を自分で持ち込むしかない。

人と比べる。グランドセオリーを外から学ぶ。

やってはいけないことを、
他人の振る舞いから盗む。

※ これはまさにLoLだ。

1日が勝手に差し出さない対戦相手を、
自分の手で作っていこう。

ここで、最初の不思議が解ける。

我々が1日で上達しないのは、怠けているからではない。

1日という試合が、上達の材料を渡さないからだ。

対戦相手のいない、スコアボードの無いゲーム。

それを、誰もが毎日、たった一人でプレイしている。

問題は腕ではない。盤面の方だ。

負け終わりが出来ないヤツどころか、自分が負けたことすらないわからない。だから上達しない。
これは奇しくも、LoLのゴミサポートと同じ形である。

あのカ=ジックスは、跳びながら書いていた

導入に戻る。

戦闘の最中に、文字が届いた。
Eで跳んでいる、その最中にだ。

当時はただ不気味だったが、
あれは、注意が空いた人間の姿と言える。

つまり私がカ=ジックスをそこまで使えないので、
「Eで跳んでる最中にチャットを打つ」
その発想すらなかったからだ。

私が初心者にまず教えることの1つに、

  • 試合の内容はどうでもいいから、素早くファームできるようにしろ

というものがある。

素早くファームさえできれば、
その分だけ頭に余白ができるからだ。

カ=ジックスは呼吸のように出来ることが多かったので、
E中にチャットを打っていたわけである。

第二段階に入るとは、こういうことだ。

プレイしながら、別のことを考えられる。

嫌悪を磨く余地というのも、
そういうことなんだろう。

とりあえず私は1日に起こる失敗を1つ知っている。

  • LoLを起動すること(少なくとも1日のタスクが終わらないうちに)

LoLを真っ当に続けるのは難しい。

私はいまだに夏休みの宿題を終わらせられないタイプではあるが、
やはり人生でアレほど教訓になるものはない。

おまけ

E中のチャットは異常ではあるものの、
やるだけなら難度は思ったより高くないようだ。

LoL中のチャットはコピーペーストも使えるが、
手で打っていたと思われる。

ここ、ダッシュ使えてよかった。

戦術の、その先へ

「LoLが上手くならないのは、操作技術以前に、このゲームへの“向き合い方”の問題ではないか?」一度でもそう疑ったことがあるなら。

その“向き合い方”を、社会学・心理学・行動経済学で解きほぐすのがこのニュースレター。週1の長文を、北川楓が書いている。

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